ガリレオ・ガリレイ(Galileo Galilei 1564~1642)は、ご存知のとおりルネサンス期のイタリアの物理学者・天文学者です。
彼は、倍率32倍の手作りの望遠鏡で、木星の4衛星・月の山谷・天の川の正体等、多くの重大な天文学的発見をしました。
本書は、それらを発表した著書と太陽の黒点に関する書簡の全訳です。
ガリレオの考察は、観測による事実の開陳に止まりませんでした。一歩踏み込んで、精緻な観測結果から対象の実像を推論しようとしたのです。
この記述の後、観測データを元に初等幾何学を使って月面上の山の高さを割り出し、それが地球上の山よりもはるかに高いことを証明しています。
さて、有名なエピソードですが、ガリレオは地動説を唱え、当時のカトリックの教義と衝突しました。
具体的には、太陽と木星およびその衛星との関係を明らかにすることにより、その相似形としての太陽・地球・月の関係を規定したのです。
ガリレオは、望遠鏡による観測から得られた事実と論考によって、従来のアリストテレスの学説を否定しました。しかし、その学究のプロセスは否定していません。むしろ敬意を払い続けているのです。
本書から、ガリレオの地道で精緻な観測の足跡とその結果から真の実態を推測する想像力と論理構成力を見て取ることができます。さらには、研究の経緯と結果を平易に伝えるプレゼンテーション能力と忍耐力?を感じることもできます。