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高校生からのゲーム理論 (松井 彰彦)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 先に読んだ「経済学を味わう」の中で著者松井彰彦さん自らが紹介していたので手に取ってみました。
 「ゲーム理論」の入門書です。

 まず、冒頭、著者は「ゲーム理論」をこう位置づけています。

(p18より引用) 人はひとりでは生きられない。友人、同僚、恋人、取引相手、さまざまな人間関係の上に人は生きている。どのような関係であれ、人と人とが出会う場では相手を読む相手の立場や気持ちを考えるということが大切であることは言うまでもない。
 そのような人間関係を分析する学問がゲーム理論である。

 これに続いて各論に入っていくのですが、ちょっと想像していた内容とは違っていました。

 第一章の「ゼロサム・ゲーム」「チキン・ゲーム」「囚人のジレンマ」の解説といったゲーム理論の基礎知識の解説的な部分は想定どおりでしたし、第二章で登場する「戦略形」「展開形」といったゲームの「表現形式」の紹介は私の頭の整理に有益でした。

 ただ、それ以降の章の内容については、読む側の本書に期待するところによって評価が分かれるでしょう。

 著者の意図としては、身近な事象を「ゲーム理論」のスキームを適用して解説する、そしてそれにより “ゲーム理論の実践的理解を深める” ということを目指したトライなのだと思いますが、それにより関心が高まる人もいれば、少々我田引水的な議論だと感じる人もいるのではないでしょうか。

 もちろん勉強にはなりましたが、私の場合はそもそもの理解力が不足していて、思惑通りに著者の解説についていくには至りませんでした。残念です。



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