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55歳からのハローライフ (村上 龍)

(注:本稿は、2013年に初投稿したものの再録です)

 人気のある本なんですね、かなり長い間待って、ようやく図書館の順番が回ってきました。

 ひょっとすると村上龍さんの小説を読むのは初めてかもしれません。

 タイトルは「55歳からのハローライフ」
 私も、ほぼその歳になって、加えて、今年はひとつの区切りの年でもあったということもあり、ちょっと気になって読んでみました。

 ただ、最初からちょっとボタンの掛違いがありましたね。
 村上龍さんがビジネス関係番組のホストをされていることもあって、私としては、(全く勝手ではあったのですが、)“熟年ビジネスマンに向けた啓発書”的な内容なんだろうと思い込んでいました。
(私の場合、読む本の大半は図書館で借りるのですが、ほとんどがインターネット予約なので中身は確認していないのです・・・)

 が、実は、5つの中編小説
 落ち着いたトーンで物語は進んでいきます。
 たとえば、こんなシーン。

(p221より引用) 「・・・ぼくは、だからお茶っていうか、飲み物は、単に水分を補給するだけじゃなくて、もっと意味があるんだと思うんですね。悲しいことや苦しいことがあるときに、ゆっくりとお茶を飲んで救われることって、多いと思うなあ」
 ヨシダさんは、そんな話をして、肩に載った桜の花びらに気づき、軽く手で払った。

 それぞれの作品は、多彩なプロットで、短編小説的なラストの工夫も盛り込まれていたのですが、やはり、(勝手に期待していたものと内容に隔たりがあったので)正直なところ満足感は今一つでしたね。
 完全に私の責任ではありますが、残念です・・・。



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