進化するグーグル (林 信行)
会社の共用文庫に寄贈されていたので読んでみました。
発行は2009年1月ですから、この手の業界を扱ったものとしては、かなり前の内容ということになります。とはいえ、「グーグルという企業」のアウトラインをザクッと把握するには、コンパクトで手ごろな本だと思います。
本書で紹介されている内容は、これといって特に目新しいものはありませんが、復習までにいくつか覚えを書き記しておきます。
まずは、「グーグルのミッション」です。
もうひとつ、著者が考える「グーグルが目指しているもの」について。
グーグルが提供するサービスの多くはAPIが公開されていて、それにより競合企業は、「きわめて容易」にグーグルが開発したサービス基盤を利用し、新たなサービスを提供することが可能となります。
この戦略は、類似サービスの市場投入を促進するという点では、近視眼的には競合企業を利することになります。が、他方、グーグルが提供するAPIを利用している限り、そのサービスはグーグルのサービスを超えることはできません。結局のところ、APIの公開は、「競合企業をグーグル自らの手の中に取り込んでしまう」、すなわち俯瞰的視点でみると、これから拓かれる新市場を「グーグル依存」に導くための極めて効果的な戦略だと言えます。
著者も指摘していますが、「グーグルを基盤とした生態系」の構築が進んでいるのです。
本書で紹介されているグーグルを中心とした動きは、IT自由主義・技術性善説といった思想をその底流に感じます。
それ自体は否定されるものではありませんが、他面、人を基点にした人文科学・哲学的なアンチテーゼも社会潮流のバランス保持という観点から意識して議論されるべきだとも思いました。
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