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スマホ脳 (アンデシュ・ハンセン)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 いつもの図書館で予約してから貸し出しまで半年近くかかったので、旬は過ぎていますが、話題になった本なので読んでみました。

 発行されたスウェーデンでもその他の国でも爆発的に売れている著作とのことで大いに期待したのですが、私にはあまり合わなかったようです。

 新たな情報を得るとドーパミンが放出されるという過去の人類の進化がもたらした「脳の報酬システム」が現代のITによる情報過多環境に対応し切れず、“スマホが脳をハッキングする” 状態を生起させている。結果、昨今、人間の記憶力や集中力が大きく減退しているとのことなのですが、それは肯定するとして、“So What” という読後感なんですね。

(p241より引用) 私たちは未知の世界にいる。人間が進化し、適応してきたのとはかけ離れた世界だ。しかし今でも私たちは狩猟採集民の脳を持っていて、そこらじゅうに危険を探そうとし、すぐにストレスを感じ、気が散り、同時に複数の作業をするのが苦手だ。デジタルな世界に生きているというのに。その点にもっと配慮すれば、私たちはより健康に、健全に生きられるはずだ。

 というのが著者の主張ですが、本書の論考が「スマホはオフに」「運動をしろ」というアドバイスに収斂されるのなら残念です。

 脳科学的な観点からの解説もなされていましたが、その内容も中途半端に感じられて、どうにも “もの足りなさ” が残る著作でした。



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