見出し画像

罪の轍 (奥田 英朗)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 このところこういったジャンルの本はあまり読まないのですが、ちょっと前に評判になった小説なので、手に取ってみました。
 いまだにかなり人気のある本のようで、図書館で予約してから貸し出しまで約10か月かかりました。

 ミステリー小説なので、ストーリーに関してはコメントは控えます。

 読み終えた感想ですが、読み始めた当初は、期待していたほど「骨太」という感じではありませんでした。
 登場人物、特に警察関係のプロットが “ステレオタイプ” にとどまっていて、惹き込まれるようなキャラクタが見当たりません。特に、物語の前半部では、主人公格の若手刑事とその後輩刑事があまりにも素人過ぎて、事件を追う切迫した緊張感が伝わって来なかったですね。

 ただ、最後の最後になると、急転直下、スピーディな描写で正に映画を観ているような臨場感。ページを繰る手も進みました。
 帯書きにあるような「犯罪ミステリの最高峰」か、と問われれば、にわかに Yesとは言い難いところですが、トータルの出来としては確かにかなりの水準には達していると思います。

 北海道(礼文島)が舞台になっているのも、一度訪れたことのある私にとっては大きなプラス要素です。
 映画化の話があってもおかしくはないですね。



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?