芸人 (永 六輔)
(注:本稿は、2016年に初投稿したものの再録です)
永六輔さん。野沢那智さん、愛川欣也さん・・・と並んで、ラジオ深夜放送の中での私の思い出の方です。
本書は、今から20年ほど前(注:当時)の著作です。永さんの語り口そのままが嬉しいですね。
本書の構成ですが、かなりの部分は「芸人」やその周辺をテーマにした「語録」の紹介です。
とはいえ、有名人の言葉ばかりを採録したわけではありません。むしろ永さんは、圧倒的に無名の人々の言葉を数多く選び出しました。それらには永さんの考えや価値観が間接的に投影されているともいえます。
その中からいくつか私が気になったものを書き留めておきます。
まずは、「最近の芸人」を評して。(この本での時間は、今から25年ほど前が基点であることを常に意識してください)
そして、次は「最近の客」です。
このあたりのところは、寄席や芝居小屋でもそうなのでしょうが、とりわけテレビの悪弊が際立っていますね。
この点は永さんの仰るとおりですが、そういう「芸人」が存在する場があるのも現実です。視聴者の嗜好に同期したメディアが、次々に「芸人」を消費する刹那の場となって、すでに20年以上存続しています。
こういった場での芸人は「芸」を披露することは求められていません。というより、最近の「芸人」の「芸」は、ひな壇での気の利いた「ひと言力」になってしまったのかもしれないですね。
また、全く別の切り口ですが、旧来型の「芸」に関してこういった声があることも永さんは紹介しています。
街場の芸はどこで生き続けることができるのでしょうか。それは、市井の人々に受け入れられ続けていた流行歌や演芸の世界においても同じです。大いに気になるところです。
さて、本書のあとがきに、こういう一節がありました。
前段は当てはまらないかもしれませんが、後段はまさに永さんご自身がそうなってしまわれたのですね。
(注:志村けんさんも小松政夫さんも,、今や “記憶” のなかの人です・・・)
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