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露地みどり

お向かいの家の鉢はレモンの木。
聞くところによると2、3年緑の実をつけたまま。
遠い里のレモンの木は一年毎の収穫だそう。

こちらの鉢はグアバの木。
まだ実はつけていないが2、3年は期待無し。
熱帯でありつけたジュースを夢みている。

露地にこんな楽しみがあるとは知らなかった。
もちろん花も草木も置いている。

下の娘が一歳になった。
初夏のこの頃ブルーベリーを摘んでかじっている。

マンションから一軒家に引っ越した。
一軒家の朝は早い。
日が昇るが先か、お向かいさんの水やりか。

気がつけば最近目覚ましで起きることがなくなった。
毎朝、土に触れるとゆっくりとした時間を感じる。
蚊に刺されてイライラはするけれど
やっぱり心地よい。

場所場所の緑にそれぞれの時間が流れていそう。
場所場所の土に色んな想いが詰まっていそう。
それは地面でも鉢の中でも。

お向かいのレモンの木。
鉢と畑とは時間の流れが違うらしい。
こちらはグアバの木。
もし鉢と一緒に私たち夫婦が引っ越ししたら。
娘2人が手元を離れたら。

それぞれの違った時間になるはず。
ブルーベリーを摘んでいた光景もきっとよみがえるはず。
グアバを絞った記憶もきっとあってほしい。

みどりは写真でも動画でもない。
みどりは匂いと手触りのある記憶だと思うようになってきた。
できる限り留めておきたい日々のために
水やりが日課になっている。

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