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目が覚める


寝る前
布団の中にもぐる時

一番しあわせ

魂だけはあの世に還る

借り物の肉体を離れて

いつもいつもわたしはねがう

このままこの肉体に戻って来ませんようにと

精一杯生きたのか
悔いなきように生きたのか

そう振り返る

母を見送り
息子たちも巣立ってゆく

わたしにはなにもない
空っぽの
こころも身体も

どうしてまとめてやって来る
ひとつずつ
ひとつずつ
少しずつ
少しずつ

やって来ればいいのに

母がまだいた時も
つらい毎日
心から楽しくなんてなかった

ただそばで見守ってくれる存在が安心感を与えてくれた

母がいなくなってからそのことがよくわかる

わたしだけ
わたしだけ
ひとり取り残され

朝方に目が覚める
あの世から戻される
肉体のない世界旅行はどうでした

記憶を消され
翼も還す
全て忘れてしまう

本当はねむっている間
わたしは母のところに還っている

だから時々目覚めるとかなしくなる

母のぬくもりが残っているから

ほんとは笑って生きていたいのに

時間は止まったまま

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