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ちょっとお時間を…

あっけなく、あっけなく旅立った

残されたわたしは
右も左も分からない
赤子のように
泣きつくす

自分の身体の一部をもがれた感触
立ち直っては
また落ち込む

吐き出すと少し楽になる

その繰り返し

そんなことをしていたら
あっという間にもうすぐ一年

母のお骨は粉骨し
どこへ散骨しましょうか

わたしのこころはまだまだついてゆきません

いつまでかかるのか

父のように少しずつ階段を下りるようにしてくれたら
わたしにもこころの準備ができたのに

母はすこんと還ってゆく
わたしのことも気にせずに
おやさまに掴まって

なんだなんだ
どこへゆく

母を追ってついてゆきたい
母がいてくれるだけで良かったの
いつまでもいつまでも
その思いは消えない

あれは旅立つ一年前
母の具合が悪くなり
本当は、本当は
その時にあの世に戻るはずだった

けれどまだ時が来ていないと
呼び戻されて
もう少し修行をしなさいと
そうやって母は帰ってきた

だからその一年は母と過ごせたとびっきりの時間だった

その魔法のような時が瞬く間に過ぎてゆき

母はおやさまに掴まって還って行った

生まれる前の世界に

母とわたしのご褒美をおやさまからいただいた

今も何をしても
まだまだ後悔が残る

母の不安な顔
母の笑った顔
つよい母、弱い母、甘える母、不機嫌な母
自分に厳しい母
人に優しい母
わたしにはちょっとこわい母

最後にはわたしの内面を真っ直ぐ見つめていった母である
思いもかけない言葉をかけてゆく

ありがとう
わたしのお母さん

あなたはわたしの母親としてのお手本です

ちょっとお時間を拝借いたしました

神様から


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