買えないよ
人混みにまぎれて
出掛けた帰り道
くたびれたからお弁当を買って帰ろうと駅前のショッピングモールを彷徨く
母の好きなシウマイ弁当をいつも横目で睨んでいる私がいる
お供えに一度だけ買ったけど
それ以降は全く買えない
あえて避けているのかも知れない
母との思い出
懐かしくもあり悲しくもある
わたしが一人で出掛ける時に母はいつも決まって
「帰りにシウマイ弁当を買って来て」とリクエストをする
秋になり物悲しさが増して来る
もうすぐ母の三回忌
お社さんに母が彼の世に迎えられて三回目の感謝祭をして頂くお願いをする
母は自ら望んで旅立った
「そんな人いるんだね」
ただ覗きに来ただけの親さまに掴まっていってしまう
いつか還らなければならない魂だけの世界へ
でも幸せに彼の世に還って行く
そうか…母を一人にしないでゆかせることが出来て良かったと少しだけ思えた
まだまだ立ち上がっては落ち込んで
立ち上がっては落ち込む
母と一緒に笑いながら食べたあのシウマイ弁当は
今はまだしょっぱい涙の味がするに違いない
どんよりとした秋の空
大好きだった金木犀の香りも
かなしさを増してくる
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