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また明日

いつものように
「また明日」

でも朝になる前に
母は逝く

「寝てる間に還りたい」と
いつも言っていた
それが唯一の望みだった

その望みを叶えつつ

お迎えに来た(本当は覗きに来ただけの)

天使に掴まって登ってゆく

どんな気分だった

聞きたいけれど
もう聞けない

わたしには何にも教えてはくれない

もう「また明日」が来ないことだけを遺して

当たり前の「また明日」

本当は当たり前ではなかったと

気づくのが遅すぎた

肉体という器を脱ぎ捨てて

還ってゆく


わたしはひとり
器の中に魂を入れ続け
「また明日」を繰り返す

毎日の祈りをしながら生きるのがかなしくなる

甘え?
そうかもね
自分でも分かっている 

わたしはいつまでも思い出の中に暮らしている

人は誰でも思い出の中で生きている

前ばかりを向いては生きてゆけないから

無理はしない

こころのままにすればいい

自分に鞭は打たないで
お願いだから
やさしく、やさしくしてあげて
自分で自分をいじめないで

見えない世界があることを
教えてくれて

ありがとう

器のない世界に憧れて

眠りにつく

「また明日」

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