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観音様に会いに行く

枇杷の畑の神山に祀られている観音様

炎天下の中
歩いてゆく気力はない
友達は歩いて行くよと
行ってしまう

御神殿でお参りをして
ひとり残され
手持ち無沙汰

何にも考えず
わたしも一人で日傘をさして
川沿いの道を歩き始める

黄色い車が追い越して
左にウィンカーを出して
止まってくれる

運転席から手を振って
わたしに合図をする

乗せていってくれるらしい
後部座席でホッとする

「ありがとう、助かった」

先に出た友達は暑い中
元気よく歩いている
これからまだまだ山登り

本当は楽々の人生なんてないはずなのに
運がいいのか悪いのか

山の上も暑くて
日陰もない
みんなは少しの木陰に寄り添う

ふと見ると黒アゲハが飛んでいる

そうだ、観音様に会いたかったのだ
母と一緒に行きたかった
でも今は母はわたしに掴まって
見えないけれど来てるよね

黒アゲハは御霊様

枇杷山を護る観音様にお参りをする
いつもあっという間で
観音様のお顔を拝見していない

今日はお参りの後からお顔を良く良く見詰めてみよう

帰りも黄色い車に乗せてもらう
友達は忙しそうにもう坂を歩いて下っている

わたしの人生
これからは恩返し
これから変わるからと教えられる
何が変わるのか
分からないけれど

相変わらず心には闇を抱えている
この闇と折り合いを上手に
つけて行かないと

不思議な不思議な人生を


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