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詰めが甘かった。

「詰めが甘い」と昔の職場で、めちゃんこ嫌いな上司に叱られたことを思い出す。
大きい仕事の準備をずっと遅くまで残業して頑張ってきたのに、前日に風邪をひいたら、厳しくそう言われた。
その上司が忙しい時の八つ当たりというか、ただ嫌味を言いたかっただけだったと思うが、何となく私自身、試験の前日にインフルエンザになるとか、バスケの試合の前日に足を捻挫するとか、とにかく集中を維持できず最後の最後に気を抜いて残念なことになる子扱いを親からされていたから、そういう苦いものを思い出して、ああ私ってやっぱり詰めが甘いんやなってこの時に改めて思った覚えがある。こういうのが呪いなのだけど。

今回も詰めが甘かった。
いつも私がやらないワンマンな方法で事を進めてしまい、私の年上の後輩にあたる人に「ちょっといいですか?話があります。」と言われ、「そのやり方はのりまきさんらしくないです。」とはっきり言われてしまった。
別にやり方は間違ってはないけど、のりまきさんがそれをしたということに少し引っかかる、いつもののりまきさんならそういうことは必ずみんなに相談して決めているのに、相談がなく進めたのはおかしいなと思った、進めたとしても後のフォローはしそうなのにそれすらないから、どういうことなのかなと思いました、と言われてしまったのである。

正直、もうあと2週間ほどでいなくなる人間にそんな苦言は要らないんじゃないの?気良く送り出してよ、私がいなくなってからやり直したらいいやんか、私が辞める前に一言何か言ってやりたかっただけちゃうんかとヤサグレた方の私が思わなくもなかったが、ちゃんと面と向かって感情的ではなく私にはっきりと伝えてくれたのは、私がまだここで一緒に働く人だと思ってくれてるのだな、聞く耳を持つ人間だと思ってくれてるのだなと素直な方の私がそう思えた。
残る人に任せるというやり方でやってきていたのに、あまりに人任せというのも投げやりな気がしてそのバランスが難しいところでもあるが、ちょっと気を抜いて手も抜いた自分に反省である。

言い訳がましかったが、辞めるということに関連してその日は色々あって「なんであんなやり方しちゃったのかな。いつもなら絶対そうしないのにな。あの日の私は退職がらみのことでいつもの冷静さに欠けていたと思う。」と言ったら、「え?いつものようにめっちゃ冷静に見えましたよ。」と驚かれはしたが、本当に私は冷静さに欠けていた。
詰めが甘かったなあと思った。
最後にこんなヘマをしてしまい、情けなかったが、それも含めて現場の部下たちに伝えた。
あの時、平常心失ってたわ。
え?めっちゃ通常運転かと思ってました。
ふふふ。ごめんごめん。やり直すわ。
そんな話をしながらちゃんと最良の方法について話し合えたので、安心してもらえたようだった。
一人一人の表情を見ていたらみんながちょっと引っかかっていたんだなぁとこの時に初めて気付いて、そんなことを見落とすなんて、余計に失敗したなぁと痛感した。

やっぱり私は詰めが甘いので、後半、最後の最後に気を抜きがちである。
もういなくなる人間だから、と言い訳して手抜きしたり、
私がいる間にこの問題はちゃんとしておこう、まだ私はここの人間なのだから、と気負ってしまったり。
どう考えてもいつも通りのスタンスで最終日まで働くのは困難なのである。
あんまり仕事を張り切りすぎると、どうせお前辞めるくせに感が募るし、いい感じのフェードアウトを狙えば、辞めるからって手を抜きやがって感が出るし、職場の雰囲気を悪くせずにモチベーションを下げずに辞めていくためのバランスが非常に難しい。
一緒に働く人も、いつまで頼っていいのか、私に頼るのをやめて仕事をしつつ気を遣っていつも通りに報告したり、今は1番やりにくいだろうなと思っている。
職場の今後について話し合う時も、私はもういなくなるし話を聞いても仕方ないんだけど…と思わないようにしようと思い参加はするが、いなくなる人間だからなるべく出しゃばらないように、と自分に言い聞かせつつ、ふわっと存在し続けている。
長く勤めた職場を退職することってすごく難しいなと今感じている。
ベストは一日一日をいつも通り過ごすしかないのだろうけど、それがなかなか難しい。
とにかく手を抜かぬよう気を抜かぬよう、むしろ初心に帰って丁寧に仕事をしたい。
あと2週間くらいなら丁寧にやれると思うので、丁寧に。
ここでこれからも働く人たちが今もこの先も働きやすくいられるように、まだふわっと何となく存在しておきたい。


これまで、たくさんのもやもや話(主に仕事)を時々勢いで書き殴り、マガジンにまとめてきましたが、仕事を辞めて旅に出たら、このもやもやマガジンごと、お焚き上げし封印することにしました。
成仏できますように。

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