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専門誌掲載コラム「働き方改革?」

最近“働き方改革”という言葉が流行りで、私たちの仕事や会話の中にも働き方改革を行わないといけないとか、働き方を改革しようとか、出てくるようになりました。そもそもこの働き方改革とは厚生労働省によると「働く方々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する」ことだそうで、そのためには「長時間労働の是正」「多様で柔軟な働き方の実現」「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」を推進することが重要と謳われています。長時間労働の是正のためにはフレックスタイム制や非効率な業務の見直しや管理職の意識改革、公正な待遇のためには正規雇用と非正規雇用の待遇差をなくし多様な働き方を広げていくことが必要と言われています。
思い返してみると確かに私の先輩方の頃には非正規雇用という働き方は少なく正規雇用の終身雇用が前提で、右肩上がりの経済状況の中、所謂、社畜のような働き方が当然とされ栄養ドリンクのCMソングで歌われた24時間働く時代だったと思います。
そこからバブル崩壊後、この世代の人たちの既得権益(終身雇用等)を守るために非正規雇用が生まれ、これが“自由でとらわれない新しい働き方”ともてはやされ、若者達がどんどん安価で不安定な非正規雇用となりました。こうしておじさんたちの権益は守られ、現代の格差社会が生まれたのかもしれません。最近の若者はすぐにやめるとか、堪え性がないとか、考えが甘いとか言いますが、彼らが育ってきた時代は“失われた20年”であり大会社も倒産するような状況、しかも一流大学を出ても就職できず、ロールモデルとなる若い大人たちもおらず、そのような状況を見て職業観や人生観を形成できなかったということもあるかもしれません・・・・というような固いことも働き方改革という言葉を見ると考えてしまいます。
さて、働き方改革とは少し異なりますが近年、女性のほうが男性よりしっかりしているなあと思うことが多々あります。採用面接等をたまにさせていただきますが、受け答えのコミュニケーション力やアピール力、学業成績その他見ると、“中2男子”と“高3女子”ぐらいの差を、特に新卒のグループ面接の際には思います。弊社でも部員・外部スタッフとして頼りない男性よりも女性に多々活躍してもらっています。
その女性スタッフの一人である弊社のある女性技術部員が昨年めでたく結婚し、披露宴の際には系列の各社様、近隣同業の各社様、機器メーカー各社様からありがたいお言葉や祝電をいただきました。その節はありがとうございました。皆様のお言葉からこの女性部員の弊社における重要性などが新郎にも重々伝わったと聞いております。その女性部員がこの度、無事出産し、現在育児休業を取得しています。弊社における産休・育休の取得は実に20 数年ぶりのことだそうで、どのような手続きをしたらよいのか、また育休制度に関しては初適用となるとのことで総務が混乱していました。また、この女性部員は業務では旧姓使用をしているため総務も本当の姓を失念し各種手続き書類を旧姓で郵便してしまったり、とバタバタしておりました。
業務に関しては、私からこの女性部員に様々な業務を移管すると同時に、弊社のあるシステムの老朽化に伴う更新の主担当としていましたが、産休育休とのことで、「(心の声)どうすんねん~~~」と管理職としては悩みました。と言ってもおめでたいことですし、今後の私たちの社会保障(年金・・・)のためにも、日本の未来を担う子供たちを社会みんなで育てるための育児休業制度です。移管した業務をもう一度引き受け、システム更新に関してもこの女性部員に基本仕様・メーカー選定・発注までをしてもらい実際の更新作業は引き受けることとしました。さらに優秀なスタッフにも業務を分担してもらい、業務を見直すことでなるべく効率的に行い・・・と必要に迫られた働き方改革を行っています。
一番恐れているのは、育休明けに出社し、更新されたシステムを見てこの女性部員から「あたしの思ってたシステムとは違う!」とクレームを言われることです。そのような事のないように(多分クレームを言われますが・・・)頑張って現場復帰をしたいと思います。
まさに冒頭の「管理職の意識改革を伴う働き方改革」実施中です。

(2019年11月専門誌掲載コラム)

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