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行政が新しいことにチャレンジするのに大切なこと〜日経テレ東大学地方自治体DXのリスクテイク術〜

日経テレ東大学 というyoutubeチャンネル。面白い回は、何回か観てしまいます。
今回刺さったのは、都城市総合政策部デジタル統括課の佐藤泰格さんの回。
このかた、現在周防大島町のDX推進のアドバイザーも務めてくださっているとか…!!!本町の職員さんのマインドがどのくらい変化していくのか、とてもワクワクします。


前例踏襲主義は、悪?

都城市さんのマインドに、
「前例踏襲は仕事じゃない」
という合言葉があるとか。前例踏襲は作業でしかない。しっかり新しいことにチャレンジしていこう、
ということだそうです。
一方で、

「公務員がなんで前例踏襲しがちなのかというと、税金を使っているから失敗したくない、失敗しないことが住民のためだという思いが強い(サボろうとか怠けようとかいう気持ちで前例踏襲なのではない)」

とも仰っておられました。
 私が思うに、「前例が初めて実施されるときに、いろいろ整理されてやっていいという方法になっているのだから、その通りやれば間違いでないだろう」という安心感が職員さんの中にあるのだろうと思います。ただ、それが唯一の方法ではなく、時代や状況やツールが変わっているのに、そもそもの課題に対して何がベストか自分で考えることを怠っている(その時間的気持ち的余裕がない)、ということも多いのではないかと感じます。


マイナンバーカードを推進する理由

周防大島町の令和4年10月末時点での普及率は49.5%
都城市は、86.0%。

私はマイナンバー普及賛成派なのですが、利用者としてそう思うのは
・住民票などのコンビニ交付サービスが便利
・確定申告がオンラインでできて楽
ということがあります。

議員として行政の効率化を考えてのメリットは
・将来マイナンバーを通じて公金振込ができれば、事務が効率化できる
・証明書発行などの窓口業務が減る
・自治体独自のサービスをカードに付与することも可能
が思いつきます。

佐藤さんが言う、自治体が推進するメリットが
・業務の効率化による行政改革
・マイナポイント付与による地域経済の活性化
を上げておられました。後者は、なるほど目から鱗でした。個人の得になるくらいにしか私は思っておりませんでしたが、確かに、住民にクーポン20,000円が交付されるのと同じ効果があると言えますね。

都城市が行った推進策の一部に
・マイナンバーカードスタート時からのタブレットによる出張登録支援サービス(申請のめんどくささを軽減)。今では「都城方式」と言われています。
・住民票等のコンビニ交付サービスを窓口より割安に設定(窓口だと300〜450円、コンビニだと一律150円)。
というものがあります。

「都城方式」は、本町では今9月議会で補正が組まれて、やっと取り入れられたところです。
今度、役場の出先機関への出張サポートも予定されています。手慣れたデジタル推進担当職員さんが来られるそうです。ポイント申請までしてもらえるはず。まだの方は是非!


証明書発行手数料に窓口とコンビニで差をつけるというのもいいですね。窓口より楽で時間も選ばないというだけでなく、節約効果もあるなんて。今では、証明書の半分くらいはコンビニで取得されるようになり、人員を2人減らすこともできたそうです。

マイナンバー取得率を上げるための経費も、国から交付されるので、工夫は大切ですね。近隣市町では、今からとると現金まで給付するという荒業に出るところまでありますが、本町では、あったほうが結果便利、無いと不便、ということをPRして推進していってほしいです。

現場職員もその気にさせてチャレンジしていくには


 各部署にヒアリングして、それぞれが抱えている課題を洗い出す。担当部署は、デジタル技術は不得意でも、課題と向き合ってきたことに関しては、プロ。それをデジタルで解決することをデジタル統括課が伴走して企画し、民間企業からの提案も、一旦デジタル推進課が受けて橋渡しをする。
 前例踏襲になりがちな公務員ではあるけど、”市民のために”ということが根っこにはあるので、課題解決できるような仕組みを提示することが大切。
 さらに言うと、その仕組み入れることで現場がとても忙しくなってしまうとどうしようもないので、抱えている課題をしっかり洗い出し、市民にも行政にも導入したら両方楽だよねということを階段状に積み上げていくことがキモ。

課題解決のためのツールの一つがデジタル化であって、デジタル化すること自体が目的では無い、とうことをしっかり意識して取り組んでおられるのがわかります。前例通りで回している現場にとって、それを導入することで市民へのサービスを落とさずむしろ向上させることができ、業務も楽になることがイメージできれば、取り組もうというマインドになれますよね。


さらに、私が激しく同感した内容が続きます。

こういったチャレンジによる成功体験が。徐々に公務員を変えていくことがある。
新し分野で成功すると、たとえ他の分野に異動になってもチャレンジをしようとする職員が育つ。
デジタル統括課の任務は、現場での課題を見つけて、いいソリューションを紹介して担当職員の意識を変えていくということ。

デジタル活用は一つの手段ではあるけれど、それに現場が取り組むこと=新しいチャレンジになって、その成功体験が公務員のマインドを変える。それがデジタル統括課のミッションだ…そこまで深掘りして業務に望んでいるなんて、素晴らしいなと感じました。
上層部を説得するにも、現場の意見をまとめてあげていくというのが一番重要だというお話もありました。現場をやる気にさせて現場の声としてやりたんだと上層部にあげていくことが、最終的にリスクを取る上層部に対してやるべき仕事だと。

チャレンジのリスクを取るのは担当ではなく上層

 現場がリスクを取りたく無い(失敗したく無い)とうい気持ちでいることをフォローするために、デジタル統括課が一緒に事業を監修することで、責任を代表して取るよう意識しているといいます。
 最終的には上司や市長が責任を取ることになるが、都城市の場合、上層部の方がチャレンジに対する理解があるとのことでした。池田宜永市長さん自身がチャレンジ推進を強く発信しておられ、「健全なチャレンジは、空振りして失敗してもいい。ただそれを見逃すな」ということを常々言われており、そのマインドが幹部職員にも共有され、失敗の責任は一緒に取ってくれるとのことです。
 とはいっても、失敗しないように十分策は練らなければなりません。

やろうという最初は楽観的に考え、
計画はいったん悲観的な視点になって物事を建てつけて、
実行する時はまた楽観的になって前向きにやっていく

という考え方が、役場全体に共有されつつあるとのことでした。

スピード感と庁内の信頼関係を作るツール

・主要案件は「政策合意書」を幹部と市長が取り交わして進捗管理する
・「市長ペーパー」により、突発案件はその都度テーブルに乗せることができる
という手法で、仕事が可視化され、誰がどのくらいやったかということがわかり、現場職員も政策を意識しながら仕事に取り組むことができているといいます。その結果、意思決定のスピードが早く、明確で、やるとなったら全庁体制で協力していける、という都城市スタイルができているようです。



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