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公共施設のマネジメントと民間活用の方向性(議会一般質問)


今回の一般質問は

  • 公共施設のマネジメントができているか

  • 公共施設の民間活用に向けた町の意思は

という2つの項目で行いました。
町が自ら策定している

に定めてあることについて、実情を確認させていただきました。

問いに対する明確な回答をしっかり得られる再質問ができていない部分もあり反省至極ですが、次に繋げていきたいと思います。


質問の目的

本町の公共施設は、全国の自治体と比べてもかなり多いほうです。本町の公共施設の床面積を足し合わせると、20万平方メートル、マツダスタジアムに換算すると9個分になります。住民一人当たりの面積に直すと14平方メートルで、これは、同じくらいの人口規模の自治体と比べると、2.7倍になっています。
また、建設物のライフサイクルコスト、建ててから、使って、修繕などして、壊すまでのコストは、建設費の4倍かかると言われています。

それだけ、維持管理や運営にかかる経費が、町の財政、ひいては町民に重くのしかかっていると言えます。

一方で、公共施設の中で、当初の役割を終えたり費用対効果の検討により用途廃止されるものが、近年、毎年のようにあります。

例えば統廃合により余った学校施設、デイサービスセンター、そして本議会では、橘ウインドパークの廃止案も上程されています。

公共施設等総合管理計画が着実に進められたら、統廃合により使わなくなる施設や、不要となる土地がさらに増えると予想されます。

こういった現状と今後の予測を踏まえて、今回この2つの項目で質問させていただくことにしました。

公共施設のマネジメントができているか

総務省からの指導で、公共施設等総合管理計画、公共施設個別施設計画が全国の自治体で策定されています。

総合管理計画は、2016年から2055年までの40年という長い期間の計画ですが、現時点ですでに残り32年になっています。
計画の中では、人口動態、財政状況、施設の現状を踏まえて、老朽化への対応、全体量への対応、更新費用への対応、変化するニーズへの対応という課題に対し、解決のための実施方針が打ち出されています。

そのうち特に気になった次の点について、伺いました。

○全庁的に標準化された保全マニュアルによる点検は?

建物の点検・診断等の実施方針:保全マニュアルを作成して、全庁的に標準化を行い、確実な日常点検を行えるようにします

周防大島町公共施設等総合管理計画

とありますが、マニュアルは作成されていますか?

A:保全マニュアルは作成していません。
「公共施設個別施設計画」(R3.3)に優先度の判定方法、施設整備の基本的方針、実施計画の検討など記載しており、所管する各部署が計画的に施設の保全を図っています。

Q:(マニュアルなくても)点検のための研修は年度当初に必要
個別施設計画が作られたのが令和2年度で、その後職員の異動もあったはず。点検のための研修は年度当初には必要と思うので、今後は実施を検討願います。

○継続利用する施設の中長期的修繕計画は策定している?

本町の公共施設の更新費用の試算によると、長寿命化工事をしたり、場合によっては廃止したりするとしても、平均して年間19億円かかる見込みとなっています。

維持管理・修繕・更新等の実施方針:継続して維持管理を行う施設については中長期的修繕計画の策定を検討する

周防大島町公共施設等総合管理計画

とあります。

建て替え、大規模修繕、長寿命化のための改修という方針が示されている建物が、196棟ありますが、現在、中長期的修繕計画を策定している(策定を予定している)施設がありますか?

A:中長期的修繕計画があるものとないものがある
建物系公共施設のうち、学校施設と公営住宅は、既に長寿命化計画等を策定し、計画的な更新事業実施に向けた対策に取り組んでいます。また、ゴミ焼却施設の長寿命化計画は、今年度(R5)策定予定です。

Q:計画ないけど修繕予定のものも。経費計画は?
それ以外の庁舎や公民館、福祉施設、観光交流施設、社会教育施設等については、そういう計画が立てられていないし、予定もないということですね。一方で、個別施設計画には、令和12年度までに実施する修繕や長寿命化について、個別に概算費用も掲載されています。多くの施設があるので、いつ、どこのどんな工事をするのか予定を立てておかないと、年度ごとの費用確保が大変だと考えますが、その費用の確保については、どう考えていますか?

A;国の補助金や地方債の記載、最後に一般財源を
財源確保は、まずは、活用できる(国等の)補助事業があるか考えていく必要がある。大規模改修になると、地方債などの起債要件に当たるかどうかも考えないといけない。しかし、様々な施設があるので、町民の意志、公益性の優先順位を考えながら、必要なものも多くあるので、それらが活用できなくても修繕しないといけないことがあれば、町の単独財源も充てて修繕・維持管理していきたい。

Q:着実に、安全で安心な施設管理、将来に負担を押し付けない施設管理を行うために、部局ごとのシーリングとは別で予算を確保し、全体を俯瞰したマネジメントを行うことが必要ではないかと思います。
全国どこの自治体も、公共施設の維持管理については、同じような課題を抱えています。それに具体的な財源確保の対策をとっておられる事例をいくつか調べてみました。

倉敷市:長期修繕にかかる予算を、縦割りではなく別予算で立てて、管理部局が修繕の見積もりと実施の優先順位づけを一括管理。メリットとして、各担当課がするより、全体を俯瞰してマネジメントすることができ、経費を節減することができたと伺いました。

津山市:公共施設の長寿命化修繕や解体に使うための基金を創設・運用されています(公共施設長寿命化等推進基金)。財源は、公有財産の売り払い収入、決算余剰金を積み立てて活用されています。こちらも施設のデータベースを一元管理し、部局を超えて優先順位をつけておられます。

こういった先進事例も参考として、将来にわたる施設の管理運営を見据えて、今からできる資金計画、見通しを立てていただきたい。

○FM的視点を養う職員研修の実施は?

総合的かつ計画的な管理を実現するための体制の構築方針:職員一人ひとりが危機感を持ち、全体の最適化を意識したマネジメントの視点を持つために研修会等を実施する

周防大島町公共施設等総合管理計画

とありますが、そんな研修は実施していますか?

A:個別施設計画を立てるときには研修をした
公共施設個別施設計画の策定作業にかかる前に、職員研修や説明会等を実施しました。本計画策定にあたっては、各施設の調査やデータ作成等が必要で、施設管理部署の職員の協力なしでは実施出来ませんので、研修や説明会等は大変重要と考えています。

Q:建物調査するための研修だけではなくFM視点の研修を
施設管理担当職員が建物調査を行うのに必要な研修だったということは理解できますが、FMという視点のものではなかったのでは。公共施設全体の最適化は、DXによる業務効率化や、行政改革にも深く関わってくることです。ぜひ、マネジメントという視点での研修も今後は実施を検討願います。

○公共施設情報を集約・一元化して効率的にマネジメントを行う体制は?

総合的かつ計画的な管理を実現するための体制の構築方針:全庁的に取り組むために施設情報の集約・一元化を行い、検討委員会等において計画的かつ効率的にマネジメントを行うための推進体制を構築する

周防大島町公共施設等総合管理計画

とあります。部署ごとに管理されている多くの施設の情報を元に、効率的にマネジメントを行うためには、それらが比較できるようなデータベースになっている必要があります。そのような一元化されたデータベースが作られているか、また、検討委員会等が設置されているとしたら、どのような体制で、どのような議論が行われてきたのか教えてください。

A:情報の一元化はできていないが課題。現状体制での維持管理
施設情報の一元化は、今後のどのように取り組むべきか課題だと考えています。
計画的かつ効率的にマネジメントを行うための体制の構築にいては、施設ごとの基本方針に基づき、各施設の維持管理を行うことが必要で、現状での管理体制の継続が重要だと思っています。

Q:情報一元化はどのように進める?
公共施設の総合管理は、建物の管理にとどまるものではありません。公共施設のデータベース、一元管理というのは、ハードだけでなく施設の性質的な重要度、運用や人の配置、水道光熱費などの維持管理費も勘案されて考える必要があります。それらも含めたマネジメントを行うことが、中身の公共サービスの維持、行財政改革につながると考えます。
データベース作るのは非常に大変ですが、作ると数字でいろいろなことが見えてきます。倉敷市では、職員さんが自ら計算式やフォーマットを作り、それぞれの担当者が、毎年情報を更新して最新の”施設カルテ”を管理されています。他にも多くの自治体が、施設カルテを作成し、ホームページで公開もされています。
作られた計画を、机上のものではなく、経費を試算してどう抑えるか、具体的に進めていく必要があると考えます。そのためにも、それぞれの部署で管理し情報を持っているだけではなく、それを一元化する基礎となる施設カルテを作成する必要があると考えますが、どのように検討を進めていくお考えですか?

A:人員確保や配置検討、外部委託も視野に
各施設の一元管理は、かなり効果的で効率的な施策の一つと認識していて、大きな課題と思っています。一元管理するには、膨大なエネルギーが必要で、職員の人員や配置の問題も含め、解決していかないといけないと思う。また、職員だけではなく、民間の力も借りたデータベース作成、民間委託も視野に入れて、総合的に検討していく必要があると認識しています。

Q:必要性については執行部もかなり重要と認識されていて、今後具体的に進めるには外部の力も借りてという話もあったので、一緒に考えていきたい。

○公共施設等の適正配置検討に関する住民への情報提供は?

フォローアップの実施方針:公共施設等の適正配置の検討にあたっては、議会や町民に対し随時情報提供を行い、認識の共有を図る

周防大島町公共施設等総合管理計画

とありますが、どのように行われていますか?

A:方向性検討の際は住民ニーズを踏まえた上で説明も必要
4町合併(H17)後、類似や重複する施設の整理も重要と考えていますが、今後の方向性を検討する場合は、状況把握や住民ニーズ、地域の実情等の調査を踏まえたうえで、議会や住民に対する説明は必要と認識しています。

Q:決定前に情報共有、実態把握を
是非、方向性を決定する前に、情報共有し、意見が拾えるような体制をとった上で推し進めていっていただけたらと思う。

○事例を研究して本町に合致した計画推進を

公共施設等総合管理計画は、これからの本町の運営を方向づける大きな指針の一つだと認識しています。計画期間は2055年までで、その頃の本町の人口は5100人程度と見込まれています。
将来の住民に大きすぎる負担を残さないように、また必要な公共施設を安全に残していくために、今一度具体的に進める覚悟を持っていただきたい。
公共施設のファシリティマネジメントについては、うまくいっているところもそうでないところも、多くの自治体のチャレンジによる事例がすでに多く見られます。ぜひ研究を進め、本町の実態と目指す将来を見据えた計画としていただきたい。

公共施設の民間活用に向けた町の意思は

公共施設等総合管理計画が着実に進められていけば、統廃合により使わなくなる施設や、不要となる土地がさらに増えます。
それらの財産は、民間で活用したり売却したりすることで、町の収益となったり管理費が削減されたりすることが期待されます。
そのときの指針として、公有財産適正管理基本方針が、2009年度に策定されています。

実際にこの指針に基づいて運用されているか、また今後について考えを伺いました。

○貸付可能な財産の公表は?

貸付が可能な財産を公表するなど、公平、公正な手続きを前提として、公益性 のある利用目的には限定せずに、幅広く貸付を認め、積極的な利活用を推進する

周防大島町公有財産適正管理基本方針

とありますが、現在、貸付可能な財産の公表はどのように行なっていますか?

A:元々担当していた部署が検討して貸付条件が整い次第公表
売却できるものは「公有財産管理検討専門部会」で選定、行政改革推進本部会議で了承を得て、一般競争入札により売却(R4までに土地6件)。
貸付可能な財産の公表については、担当部署において利活用方針を検討し、貸付条件等が整い次第、その都度行っています。

○用途廃止した公有財産、その後の利活用方針は?

用途廃止を決定した財産につい ては、役場内に、『公有財産の管理を検討する専門部会』を設置して、その後の利活用の方針を総合的に検討し、結果を行政改革推進本部に提出し、町長が決定する。

周防大島町公有財産適正管理基本方針

とありますが、実際に利活用方針を定めた遊休財産があれば、その方針を、お示しください。

A:(示さず)廃止前の担当部署で方針を検討。
現在の体制では、廃止となった施設は、各担当部署において、廃止後の管理を行い、今後の利活用等を検討しているところです。

公共施設等総合管理計画策定にかかる総務大臣通知によると、「新しく造ること」から「賢く使うこと」への重点化が課題であると言われており、これからは現存施設の延命化に向けた有効な対策と計画的な整備がこれまで以上に求められています。一つの部署で専門的に事務を進めることは効率的であると思いますが、現在はそのような体制は整っておりませんが、現在の管理体制を維持継続するとともに、更なる管理体制の強化に努める必要があると思っております。

Q:利活用に特化した組織で民間アイデアも入れた方針ができるようアップデートを!
利活用方針は管理部署が廃止後もそれを定めて準備が整い次第動きを進めている、現在の体制的にはそれができること、と受け取りました。
施設によっては、利活用の方針、コンセプトを町として決めて、その実現に力を発揮してくださる民間事業者を見つけるということも必要な場合があると考えます。公共施設であったものは、ただのハコとしてではなく、エリアにとってどんな存在であるべきか、中には考える必要があるものもあると考えるからです。
この時、行政内部だけで考えるのではなく、地域にとってどんな施設であるべきか、その施設がどのような活用可能性を秘めているか。事前に市場性や活用案などを把握してから、方針の中にコンセプトを盛り込む時の参考とするために、サウンディング(対話)型⺠間市場調査(⺠間事業者からのアイデア募集) を実施することを提案します。
また、企画的な活用の募集というのは、各担当部署の施設担当者では荷が重い、専門性が必要とも感じます。特別な部署を設置すること以外にも、部署横断的にプロジェクトチームを作って幅広い部署で検討できるような体制を作るなど、これから案件が増えていくと予測されるので、必要となってくると思う。
方針が設定されて、14年が経過し、世情はだいぶ変わってきています。そういった状況も踏まえて、今後を見据えた方針の改正が必要だと考えます。

A:見直しを検討したい
今の方針は平成22年に作られたもので、当時と比べて社会情勢の変化や住民のニーズも大きく変わってきています。一度見直す必要はあると思っています。行政改革推進本部会議や議会の特別委員会の意見を聞きながら、見直しを検討していきたい。

○より良い民間活用に向けて行政は

前向きな回答で勇気をもらいました。本町は、、瀬戸内海という、全国の中でも魅力的な立地にあると思っています。実際廃校活用の募集しても、手が上がらないということもなく、民間から提案がいただけているということは、全国的にみても有望なんじゃないかと思っています。民間事業者の力を最大限活かせるようにするためにも、見直しを積極的に進めていただきたい。


youtubeにアップされているので、こちらも視聴いただけたら、臨場感、執行部の空気感なども感じていただけるのでは?と思います。お時間ありましたら是非に。


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