見出し画像

~バイクを一生安全に乗るために(5)涙の断念「ボアアップ」~

神奈川県横浜市戸塚区の女性ライダー弁護士西村紀子です。

 一人の弁護士として、一人のライダーとして、そして、一人の人間として、日々感じたり観察したりしたことで、皆様のお役に立つと思えることを、つぶやき発信していきます。

 本日は、一人の弁護士として、一人のライダーとして、そして、一人の人間として、 
  "バイクを一生安全に乗るために(5)涙の断念「ボアアップ」”
です。

 “バイクを一生安全に乗るために”では、バイクを一生安全に乗るために私が心がけていることについて、書いています。

 (1)(2)(3)(4)はこちらです。

   ↓

 さて、本日のテーマは、「ボアアップ」です。

 「ボアアップ」って何?という方もあるかもしれません。
 厳密な定義をネットで調べたところ、以下の記事で、

 「ボアアップとは、シリンダーの直径(ボア径)を拡大し、排気量を上げることを意味しています」

とあるのですが、要は、エンジンの改造・・。エンジンを交換する等でエンジンの排気量をアップする「改造」です。


 バイクの魅力を知るまで、バイクに乗ることなど夢にも考えたことのなかった筆者です。
 「改造」など、さらに思考の圏外でした。
 「改造バイク」などと聞くと、むしろ、眉をひそめていた記憶です。
 そんな危険なことをやって、勝手に事故を起こして、他人様に迷惑をかけて、被害者と言われても・・自己責任でしょ・・自業自得だわ・・なんて思っていたかもしれません(もちろん、改造は自己責任です)。


 が、、、バイクの魅力を知り、中型二輪免許を命からがらでも取得し、そして、自身でバイクを運転して乗るようになってからは、このようなことについても、全く見方が変わらざるを得ませんでした。


 ここで、プロフィールにも書いてあるとおり、筆者の愛バイクは、某バイクメーカーの125CCMT(マニュアル)車です。

 夫のバイクの後ろに乗せてもらったことによりバイクの魅力を思い知った筆者は、その後、中型免許の取得のために、自動車教習所に通い、そして、命からがら、卒業して中型二輪免許を取得することができました。

 が、とてもではありませんが、教習車であったHONDAのCB400SFのような“中型車”は、公道で乗りこなせる力はないと痛感せざるを得ませんでした。
 元々、足つきのよい、HONDAのrebel250が良いかなと考えていたところだったのです。

 が、いろいろ考え、高速道路は諦めて、ただ、マニュアルにはこだわった結果、現在の125CCMT車(原付二種)となったのです。
 これは、筆者にとっては運命のバイクで、とても楽しく乗り回していました(今も乗り回しています)。
 そして、乗り回しているうちに、少しずつ、野心が芽生えてくるのです。
 
   私の体にフィットしてくれるこの運命の愛車で、高速道路を走りたい・・・!!!!!
   この運命の愛車で、高速道路を!!!

という考えが、筆者の思考に取り憑きます。そして、
   この愛車で高速道路も走って、いつか日本一周を!!
と。

 早速ネットで検索です。
(こういう気持ちから、「改造」をしたくなったりするのだな、と理解できました)

 すると・・・あるではありませんか。
 筆者と同じバイクで、エンジンを150CC以上のものと交換(=ボアアップ=改造)して、高速道路を走っている動画が・・・!!!

   これだ!!!

と思ったわけですが、
   さて、この安全性はどうなのだろう??
   バイクは大丈夫なのだろうか??
   大丈夫だと信じたいけれど・・・。
 今ひとつ、この点について肯定的に語ってある記事は見つかりません。むしろ、否定的な記事が見つかってしまったりして・・。

 そんなことを悩んでいるときに、愛車の定期点検の時期がやってきましたので、筆者はその定期点検に赴いたときに、職員さんに聞いてみたわけです。

「このバイクでエンジンを交換して高速道路とか走っている動画がありますけれど、それって大丈夫なものなのですか?
 
 「大丈夫」という表現も随分と抽象的なものですが、できれば、「大丈夫」と言って欲しい気持ちがありました。が、その気持ちは見事に打ち砕かれます。

「やっている動画はありますね。それぞれの判断で。でも、大丈夫じゃありませんよ

 ショックです。

「駄目なんですか?」(泣)

「車体もエンジンに合わせて作ってありますからね。」
「あれ(=エンジン交換して走っているバイク)は、おじいさんに栄養ドリンクを飲ませて走っているようなものです。それに保証からも外れますし。」

 ショックを受けていた筆者でしたが、この言葉で目が覚めました。

  おじいさんに栄養ドリンクを飲ませて走っている。。。
  おじいさんに栄養ドリンクを飲ませて走っている。。。
  おじいさんに栄養ドリンクを飲ませて走っている。。。

 それは、確かに無理がある・・。
 それに保証から外れて、万一事故になって、死亡した挙げ句に、改造車だと主張されて損害賠償請求が減額されたり(被害者の立場)、過失割合が大きくなったりしたら(被害者・加害者両方の立場)・・。家族をどれほど無用に苦しめてしまうことになるか・・・・・。

  仕方ない・・。
  儚い夢だったな・・。
  諦めよう・・。
  安全が第一だ・・。

 筆者は、ここで、愛車のエンジンの交換=「ボアアップ」=改造を断念したのでした。・・ 高速道路は、いつか、rebel250で走ろう・・。
  
 筆者にとっては、涙の断念の「ボアアップ」。
 本当に悲しかったですが、それでも、職員さんから、

  おじいさんに栄養ドリンクを飲ませて走っている。。。

という言葉を突き付けられて、目を覚ますことができて、よかったと思います。

 先ほども書きましたが、改造車で、万一事故になったとき、
  改造車だと主張されて損害賠償請求が減額されたり(被害者の立場)、
  過失割合が大きくなったり(被害者・加害者両方の立場)・・
ということは十分にありえます。ただでさえ事故の被害で家族を悲しませ、さらに「改造」で非難されたりしたら、家族をどれほど無用に苦しめてしまうことになるか・・・・・。
  弁護士としてもこれはまずい・・。

 ということで、涙の断念をしたのでした。
 
 バイクの魅力の虜になるあまりに、筆者のように「ボアアップ」を考えてしまう方もいらっしゃると思います。
 ですが、上記のような諸々のリスクがあります。
 基本は、安全を優先してやめておくべきことと思います。
 それでもやるという方は、とにかく、自分と他人を守る安全装備を完璧に行う、という気持ちを持って実際に備えることが大事です。。。

 
 読んで下さっているライダーの皆様とこの想いを共有して、安全なバイクライフを送っていきたいと想います。 
(続く) 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?