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30日間続けてみたら

そもそも何を言おうとしての導入だったかは、忘れてしまった。
今から10年ほど前、高2だった次男の保護者会で進路担当の先生が話し始めた。
「最近、30日間続けたら人生が変わるという本を読んで、ほんとかな、と思って、30日間、毎朝ピーナッツを食べました。そしたら、太りました」

学校の先生の話は自分が教わった先生のそれも、子どもの先生のそれもあまり覚えていない。
覚えていたとしても断片的なもの。
けれどその、太ったという話は印象的で、ずっと忘れられなかった。
それで、思いついて、5年ほど前から些細なことをまずは30日間続けるということをやってみている。
本当に些細なこと。
先のピーナッツを食べる例ではないが、別に習慣づけしたいからではない。
目的は「ものはためし」だったり、「消費」だったり。
たとえば、毎日とある体操をするとか、装身具を必ず身に着けていくとか。
もらった器具をむだにしたくなくて、毎日使い続けるということもした。
余っているメモを使うために、毎日何かを書きつけることも。
それぞれの行為の結果、何かがもたらされたのかは明確ではない。
つまりピーナッツで太ったというような明白な(?)結果は不明だ。
だが、わかったことはある。
それをしなければ、何かを忘れているような気持ちがするのである。
なんとなく物足りないような気持ちになることもある。
それを習慣だと言ってしまえればよいのかもしれないけれど、ちょっと違うような気もする。

先日、単位も十分とっていてかつ院進も決めているから時間に余裕があるという3年生に
「どんなことをしたら」
と聞かれた。
日頃から旅行をするなど活動的な学生だ。
でも長い文章を読むのは苦手だという。
こんな時間のある時くらい、苦手なことに取り組んでもいいんじゃないか。
それで
「1日30分、30日間、本を読んでみたら。何を読むかは自分で決めていいから」
と薦めてみた。
ものはためし、と言う意味で。
彼は「習慣づけですね」って言ったけど、そんな気負うことでもない。
彼の国語嫌いが治るかどうかは知らないが、素直な彼は
「親じゃない人から言われたのは初めて。すんなり入ってきますね」
と帰っていった。
さあどうするかな。

ところで、ここまで文を書いて、冒頭の先生の掲げた本を探してみた。
その本っぽいものはあったが、刊行が先生の話よりも5年ほど遅かった。
ネットで「30日間 人生 変える」で検索すると、本の中身とは違うが、これまた枚挙にいとまがないほど記事が出てきた。
でも、そんな効用みたいなものとかは私はどうでもいいんだけどね。

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