心の眼で無限を観る年に
新年あけましておめでとうございます。
毎年、元旦は人里離れた山の神社に登拝するのですが、今年は早朝、バス停でふと行先表に「観音」とあるのを見つけ、そのまま想定外のバスに飛び乗り創建1250年超とされる山奥の古刹へ。
昨年末ある方から「来年は神社だけじゃなく観音を巡るといいと思います」とアドバイスいただいたところで、元旦の朝に観音行きバスを見つけるのもご縁かと。
全く予備知識なく訪れた奥の院は筆舌に尽くしがたい神秘幽玄の美しさで、山伏の法螺貝も届かなくなる山中の霊窟は、瀧の音だけが響く閑寂。
人がいないにも程がある仙境でした。
あまりの心地良さに時間を忘れて瀧そばで瞑想してたら、鼻つららできそうな寒さにうっかり天界へ昇っちゃうとこでしたが…
山道を歩くのでお寺でお札を預かっていただく話をしてた時、お坊様に「あちらの坊主頭の男性に…」と指差されて思わず、
「こちらの方は皆様、坊主頭に見える気がするのですが…」と大真面目に聞いたら、「たしかに」とお坊様が吹き出し、そのまま2人で大笑い。ほっこり幸せな初笑いとなりました。
この山寺にお祀りされている十一面観音は、あらゆる方向を見守るとされる十一のお顔に慈悲だけじゃなく、なだめる、励ます、叱るなどさまざまな表情をもち人を導き助けてくださると言われます。
お護摩が終わった後、お坊様が「自分に起こること、相対する人に傷つき悲しむようなことがあったとしても、それは今の自分に必要な、大切な何かを教え育ててくれる、観音様の姿だと言えるのではないでしょうか」とお話くださいました。
他生の縁がもたらしてくれる喜びも切なさも、すべてを得難い体験、学びとして心を開き、心の眼で無限を観る年にしたいと思います。
十一面観音が背面にもつ暴悪大笑面のように、ぴっかぴかに晴れやかに陽気にあらゆることを笑い飛ばしつつ。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
皆さまの新しい年も、優しい祝福に満ちたものでありますように。
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