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人がより幸せに生きていくのに不可欠なものを抱いた器

今日の日経新聞で、さくら事務所の新サービス【実家の未来マップ】を紹介いただきました。

このサービス、両親が同時に倒れて父が最大もって半年と告げられ、いきなり超短期間で相続問題に直面した私が、その当時に感じた課題や違和感から作ったサービスです。

私自身はいちおう不動産業界人だから物理的にも精神的にも余裕がない中、権利関係の整理から不動産売却まで、あれこれなんとか対処することはできたけれど、

がんの痛みで起き上がるのも口をきくのも辛い状態になった父に、淡々と必要な手続きを説明し協力をあおぐのが心情的に本当にきつかった。

看護・介護が必要になった2人抱えて経営と両立しながら、対処方法や事業者さんを探すのも。

権利上ややこしい事情を抱えてる家族だったし、私がやらなきゃ同じく倒れた母が後で困るという一心でやったけれど、こんな話は元気な時に早く決めておいて、しかるべき手続きをするだけ、という状態にしておければ良かったのにと、

業界人のくせに大事な話を後回しにしてたこと、判断材料になる根拠資料も準備しておかなかったこと、ちょっぴり悔やみました。

思いのほか若く早く亡くしたのと、してもどうせ、嫌な顔されるだろうって頑なな思い込みもあったのですが。

あと、実家の話って家族の思い出や思い入れがある大切な居場所なのに、相続という局面になると資産性っていうドライな経済合理性が先行しがちだし、

一度空き家になってしまうと建物は傷みが何倍もの速さで進行し、周囲への悪影響や維持費がかかるとか対処が難しくなるのをもてあまし、最後は処分という切ない言葉が使われやすい。

だから空き家になってしまう前に、家族が揃っていろんな話ができるうちに、実家の処分じゃなく、実家のセカンドキャリア・未来をどう描くことが、自分たちや自分たちを育んだ柔らかな実家にとってより幸せなのか、

考え話し合う機会、頼れる相談相手、手ずから調べなくとも確かな判断材料、まとめてそっと手渡せればいいな、そう願って【実家の未来マップ】サービスを作ったのです。

不動産、とくにマイホームという実家は本来、経済的な意味合いだけではなく(それはもちろん!重要だけれど)、かけがえなく代替のきかない愛や記憶、深い交流や学びとか、人がより幸せに生きていくのに不可欠なものを抱いた器。

できることなら笑顔で静かな納得とともに次のステップに進んでもらいたいし、不動産という器にもより長く、愛され頼られ受け継がれる現役でいてもらいたい。

オカルトぽい話でちょっぴり恐縮なのですが、仕事で放置され長らく人の手、気持ちが入ってない空き家を見ると、孤独の悲鳴をあげてるように感じる時がしばしばあります。

「私がほしいのは「語り合えるもの」だったのね。心あるのは人間だけではないとつくづく思うの。」とは白洲正子さんの言葉ですが、

実家も多くのケースで、もしかしたら自分や愛する者たちと語り合うことができた、心あるものだったりするんじゃないのかな、と。

家族や不動産との向き合い方、関係性は本当に人それぞれで正解のないものですが、正解がないからこそ、他の誰でもない、あなたにとってより佳く、より幸せなものでありますように。

空き家対策に先手サービス続々 住み替えや解体支援
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOMH2862N0Y0A221C2000000?fbclid=IwAR0oWE3XVyWfUZtgnQi6fHPT62pfCsSktIjoHzPyWa3XX5xaYRXwj0PqpbA#k-think


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