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都市が衰退する理由

【都市は賑わってから衰退する】
人間の歴史を長期で見ると「都市」というエネルギーが局所的に高いものは、いずれ衰退する、という「自然の道理」があるんだな。

つまり、都市は人間社会に不可欠なコミュニケーションの効率化によって、よりエネルギーを局所的に集める。そして、富が都市に集まると同時に、人も集まり、都市ができる。

【戦争はかつて都市どうしでやっていた】
そういえば、昔の欧州での「戦争」は国どうしではなく都市同士でやっていた。そこにエネルギー(人やモノお金)が集まって大きな富を作っていたからだね。国・国境は或る社会集団の勢力範囲を示す境界線に過ぎなかった。あくまでエネルギーの中心は「都市」なんだな。

【エントロピーで考えると】
しかし「自然法則」で考えれば、局所的に集まったものは、時間とともにエネルギーの高いところから低いところに流れていき、いずれ平準化して、エネルギーの低い状態になっていく。

であれば、これから「都市」は衰退する。「ゆっくりと」ね。

【集中しなくてよくなった。そしてスピードは速くなった】
しかし、この数十年でヒト社会の状況が変わった。インターネットができて、地域集中しなくても良くなった。だから、平準化していく。「ゆっくりと」が「急に」に変わった。インターネットができて、地域間の移動のコストが劇的に下がり、ヒトもモノも、安価に、速いスピードで「流通」するようになれば、ヒトは利益をより得るために、このスピードアップの流れに乗らなければならない。結果として、全てがスピードアップして、都市の衰退もスピードアップする。ヒトの社会において、「スピード」とその競争は直に社会の構成員一人ひとりの競争の勝敗に関わってくるから、ヒトはそのスピードアップから逃れられない。

【インターネットは触媒】
だいぶ前に私は「インターネットってなんですか?」と聞かれて「ヒトの社会の化学変化のスピードを上げる触媒のようなもの」と、答えたことがある。実際、それが実態と思ったからだが、それはどうやらあたっていた、と、今は思う。

これからは都市は、目に見える速さで衰退していく。だから、それを前提に物事を考え、その前提の上に乗った流れに乗ることだ。

【衰退が始まったビル街】
思えば、のんびりした市電を廃止したクルマ社会となった米国ロサンゼルスは、都市というにはあまりに広い範囲だ。クルマで移動が前提。それでも、コミュニケーションを密にして効率化するために、中心街には大きなビルが立ち並んでいる。しかし、そのビル群の空き室が、最近は劇的に増え始めている。サンフランシスコもそうらしい。ネットがある。コロナが来た。この全てが、ヒトの社会を変えつつあるのだ。

都市廃墟の荒廃がおそらく進む。

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