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会社の未来を描ける会社、描けない会社(東奥日報を読んで想うこと)

 いつもは日経MJを読んで想ってますが、ちょっと番外編です、えへへ。
 日経MJは週に3回なんですよね。毎日購読しているのは、地元紙・東奥日報です。ただ、普段は仙台で働いてるので電子版が多いんですけどね。
 仕事柄、東北・新潟の地元紙とか、全国紙とか色々読みますが、東奥日報の電子版とか記事検索とか、進んでますよ。全国で比較したことないけど、少なくとも東北・新潟ではトップレベル。関係者はもっと自慢していいと思うんだけど。
...あ、ついつい脱線しちゃった。想いが強いもので、えへへ。


平舘不老ふ死温泉 常連が事業承継(2023/8/15東奥日報)

 今日はこれ。全文を読みたい人は...紙の読者になれば電子版も読めるし電子版だけも登録できるし、まずはオンライン+のフリー会員になれば限定記事を一部閲覧できるので、県外で青森出身の方とか青森好きの方、青森を知りたい方はまずはここから!
https://www.toonippo.co.jp/feature/online_plus/#free

...あ、また脱線しちゃった。さて。本題に入ろうか。今回は、いつまでも仕事をしていたいけど、私ももう年だし、みんなに迷惑をかける前になんとかしなきゃ...そんな温泉宿を、親戚でも何でもない常連客の女性が引き継いだ、そういうお話。
 記事の冒頭で「いいお湯を知ってほしいとの思いを受け継ぎ、子どもからお年寄りまで楽しめる施設にしたい」とあります。カタカナでいえばビジョンとかパーパスとか、そういう感じのものです。前の経営者の方の思いをちゃんと受け止めて、前に進んでいく決意がにじみ出てますよね。なんだか、よいですよね、共感できます。

会社の後継者が決まっていない、その割合は?

 今年の中小企業白書、113ページから186ページまで、実に70ページが「後継者問題」に割かれています。表紙とかもろもろふくめて計630ページ、そのうち参考文献だの索引だの凡例だのを抜いたら500ページでしょうから、だいたい15%くらいです。このテーマがどれだけ大事か、ずっしり重みが伝わってきます。それもそのはず、こういうグラフがあるんです。

2023年版中小企業白書121ページから抜粋

 これをどう読むかって?それは「後継者が決まっている」と胸を張って言えるのは、60歳代で50%、70歳代以降で65%しかいないってことです。記事に出てくる前経営者の方も70代半ばです。「高齢化や後継者不在に悩んでいた」。でも「旅館に思い入れがある」。何とも言えない切ない気持ちになります。うちのりんご農家もそうだったので。

会社の未来が描けない。

 職業上、色んな社長のところに伺いますが、二極化しているパターンが多いです。①若手社長が会社を引き継いでるパターンと、②60代後半の社長が現役で頑張ってるパターン。
 ①は、今は苦しいこともあるでしょうが、会社の未来を描くことができます。それに向かって頑張ることができます。翻って②はどうでしょう。後継者が決まってる50%はいいかもしれないですね。でも、残り50%ってどうなんでしょう?
 例えば赤字事業があって、立て直したいっていうとき。頑張れば立て直せるかもしれない。でも、立て直した先に、何があるんだろうって。
 きっと「社長、5年後は元気かもしれないけど、10年後、この会社どうしましょう?」を話さないと、根本的な解決には至らないんですよね。赤字事業を一緒に立て直しながら、こういう話をしていくのかな。その時となりに、後継者候補もいたらいいな。

息子じゃなくても、家族じゃなくても、そこに想いがあるなら。

 帝国データバンクの調べによると、女性社長の割合って8%なんですってね。

 まだまだ「跡取りは息子」っていう文化が根強いのかな(こういうの、アンコンシャス・バイアスって言うらしいぜ)。あとはこれ(↓)。

2023年版中小企業白書128ページから抜粋

 家族に会社を引き継ぐ(34%)+従業員に会社を引き継ぐ(34%)=ほとんど7割。社外は28%なんだけど、感覚的にこの社外っていうのは、M&Aとか経営の経験者だよね、普通は。
 たださ、この記事では「保育士として働いた時期が長く経営は素人」とあるんです。「私もこのお湯をなくしたくない。大変だろうけどチャレンジしようと決心した」って。
 家族だろうと従業員だろうと、何なら社長だろうと創業者だろうと、誰だって、最初から経営者じゃないんですよね。稲森和夫さんが経営12カ条でおっしゃってます、想いが大事だって。物事は心に描いたとおりに成就するって。

課題は地元に愛されること

 ...と、勝手に課題設定しましたけど(笑)
 この課題、経営者の方はよく分かってらっしゃいます。だって記事には「地元の人に開放する日を設けてもいいかも。冬も開けようかな」とありますから。「リピーターを大事にしつつ...若い人や地元の人など新しいお客さんにも来てもらえたら」とも。
 会社の未来、描けていますよね。「付近一帯の温泉は300年も前から存在し、津軽半島では最も古い温泉とされる」そうです。地元に愛され、支えられて。そうでなければ300年も続かないですもの。これまでも、これからも。地元に愛され続ける温泉であってほしいと願います。

余談ですが...

 ホームページ見たら、ここ、あの有名な有名な徐福伝説と関係あるのか!
秦の始皇帝から不老不死の薬を探して来いと東の海に旅立って日本に来たんだけど、いくつか伝説の寄港地があって、青森県だと外ヶ浜の反対側の中泊町にたどり着いて銅像も立ってるというブツブツブツブツ...
ホームページはこちら。

何んにもないには、価値がある。

 ホームページには「何んにもありません」とありますが、「何でもある」に価値があるとは限らない。何んにもないことにこそ、価値を見いだす人がたくさんいます。平舘不老ふ死温泉が、これからも末永く愛されることを願って、スマホを閉じました(おしまい)。

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