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ベンチプレスへの挑戦は、仕事の質を高める

【ご報告】

2021年5月30日(日)東京都ベンチプレス選手権大会に出場する機会を得ました。万全の感染症対策をとっていただくことで実現した大会でした。改めて大会関係者の皆様に御礼申し上げます。
会場は浅草橋ヒューリックホール &ヒューリック カンファレンス
ものすごく広く、天井高く、きれいで、素敵な会場でした。しかも、巨大スクリーンがあって、ビートのきいた音楽と、素敵な場内アナウンスがあって、ものすごく大会の雰囲気が盛り上がります。ここで競技ができるなんて幸せです。冒頭の写真のとおりです。

私はM1(40代)男子93kg以下級に出場し、記録は下記のとおりでした。
BW(体重) 88.5kg
第一試技 97.5kg成功
第二試技 102.5kg 成功
第三試技 105kg      成功

公式戦に参加したのはこれが4回目、うちベンチプレス大会は2回で、前回と今回。前回は2019年秋でした。今回目標としていた大会での自己ベスト+10kgである105kgを挙上でき、とても嬉しいです。

20210530東京都ベンチプレス選手権大会2

■競い合い

競技終了後、表彰式の前に競り合ったH選手が声をかけてくださいました。
「渡邉選手、今回は負けましたが次は負けませんよ。私はメダルがとれなくて悔しいです。絶対にまた戦いましょう」
「コロナ禍ですが握手しましょう、次も絶対戦いたいので」と。
「メダルがとれなくて悔しい」聞いてハッとしました。
というのも、私自身は自分の目標を達することが第一だったからです。
実は私自身、銅メダルをいただくのは今回が2回目です。とはいえ前回2019年秋の大会では同カテゴリー出場者が3名のみの3位(=ブービーメーカー)でした。
しかし、今回の銅メダルは違いました。4名以上の出場者で競り合った結果、得たものだったのです。
メダルを狙っていたのに取れず悔しい思いをしておられる方がいること、しかもその当人が「悔しい」と思っている。さらには、その思いを清々しく直接ぶつけてくださったことで、気がつくことができたのです。

■心理戦

この銅メダルに至る前には、私が意識すらしなかった駆け引きがあったことを、試合終了後に武田コーチからお聞きし、知りました。
実は、第一試技終了後に、第二試技で105kgを狙おうか、と悩み、102.5kgにしました。
さらに実は、第二試技終了後には、第三試技で107.5kgを狙おうか、と真剣に悩み、105kgにしました。

これらは、欲が出ていた証拠です。
「今ならもっと高重量を押せるのではないか、107.5kgも押せるのではないか」との思いが頭をよぎっているのです。
実際、試合の特別な雰囲気で集中できていてアドレナリンが出ている状況ですし、「きっと押せるだろう」と。

しかし、悩んだ末に当初の予定通り105kgに挑戦しました。
武田コーチからは、この判断が良かった、とコメントいただいたのです。というのも、競っている選手と私はBWが全く同じでして。もし記録も全く同じなら、エントリー順に順位が付くので、その際は私が上位に来る、と。
とすると相手は、私の重量よりも重い重量にチャレンジする必要がある、ゆえに彼は107.5kgに挑戦し、残念ながら失敗してしまった、と。

逆に私が欲を出して107.5kgに挑戦し、失敗していたら私の記録は102.5kg止まり。すると彼は105kgをとれば私を上回っていたのです。
という意味では、その時のノリと勢いでさらなる重量に挑戦するのではなく、自分が目標としている重量を確実にとりに行ったことは、実は相手との心理戦にもなっていて、そしてその心理戦に勝った(正確には相手が負けた)のだ、と。

このことは第三試技挙上直後に武田コーチからお聞きして本当に驚きました。
そこまでの心理戦は、競技に集中している状態の私一人では、決してできませんでした。
まさに「パワーリフティングはチームスポーツである」といわれる意味を、あらためて身をもって実感しました。

■パワーリフティングはチームスポーツ

ここまで、試合中の心理戦の面から「パワーリフティングはチームスポーツ」という面をふりかえりました。
チームスポーツという点は、何も試合の時だけのことではありません。

本来、試合は1人ずつ、順番に自分の試技を行うこのスポーツ。相手と組み手もしませんし、直接コンタクトすることはありません。そんな「パワーリフティングがチームスポーツである」とは、どういうことなのでしょうか?
例をあげてみます。
・日ごろの練習で指導やアドバイスいただき、改善、修正を加えながら切磋琢磨できること
・高重量に挑戦する際に補助をしていただけること
・努力を重ねている素晴らしい選手の姿を見ながら、「私も頑張ろう」と奮起できること
こうした面にもチームスポーツである点がふんだんに表れています。

試合当日も、チーム所属選手はチームに所属しているからこそ、のメリットがたくさんあります。
・初めて行く会場で、更衣室やウォーミングアップスペースをはじめとする場所についての情報交換ができる
・準備やウォーミングアップにおいてもサポートが得られる
・日頃やり取りのある仲間と談笑しながら緊張をほぐしながら気持ちを準備できる
特にウォーミングアップにおける仲間の存在は絶大です。普段の練習なら自分で重量変更し、ラックの高さを変える必要があります。しかし試合においては、仲間がしてくださるのです。これは、試合の直前、少しでも疲労を出したくない時に、とてもありがたいことです。
こうした支えあいは、チームならではです。
個人で協議に取り組む方には得られないメリットです。

今回の試合を通じて、「パワーリフティングはチームスポーツである」ということについて、試合中の心理戦、チームスポーツの魅力に触れることができたこと、学びとして書き残しておきます。

■今回のふりかえり

試合終了後、所属ジムの阿久津オーナーからこう言われました。
「おめでとうございます。よかったですね。今後のためにも、今回の良かった点と良くなかった点、ふりかえりをしておきましょう」と。
終わったばかりの安堵感に浸りかかっている自分の心に、このお話はとても強い印象をもたらしました。
それは、「終わった直後だからこそ、挙動等の振り返りが鮮やかに行えること」に気がつくことができたからです。

パワーリフティングでは、実はかなり繊細な動きの違いで、挙がるはずの重量も挙がらなくなることがあります。
微妙な動きの違いや角度など、身体感覚についての振り返り。
普段ジムでご指導いただくときには、動きの直後にお声掛けいただき、ふりかえることが多々あります。
同じことを試合でも行っているのだ、と本当に驚きつつ感心しました。

今回の振り返りの内容は私の身体感覚のことばかりなので、この場には書きませんが(笑)、今回は試合前2週間の段階で得た身体感覚が、とても大きな気づきでした。
それを試合の際にも意識し続けることができたことで、105kg挙上できたとふりかえっています。
そして、終わった直後に複数の方から言われたこと。特におろしていくプロセスでの動きについて。違い場所、違う角度から見ていた方が、異なるタイミングで同じことを言ってくださった。実際にそうなのだろう、と思いつつ、動画(ニコ動の生放送のアーカイブ)を見てみたところ・・確かにその通りでした。
これは、自分の感覚と、見えている姿が異なることを自覚するには十分なことでした。

今後のふりかえりを通じて、「直後にふりかえり、言語化すること」と「自分で自分を客観視すること」の価値を実感できました。これからも行っていこう、と思い新たにいたしました。

■競技への挑戦は、仕事の質を高める

以上みてきたように、
・成果を目指して取り組むこと
・競い合うからこそ成果が向上すること
・チームで取り組むことで一層、成果が向上すること
・ふりかえりを行うことで、次の言動の質が向上し、成果向上につながること
・ふりかえりは(一人でもできるが)他者から示唆されること、その内容を受け止めることで、自分を客観視する機会を得られ、ふりかえりが一層深まること

これらのポイントは、仕事にも十分に適用できることだと確信しています。
そしてこれらは、いつも同じコミュニティ、具体的には職場の仲間とだけ、関わっていると、なかなか気がつけないと思うのです。
というのも、固定化した関係性の中だけでは、十分に客観的な気付きを得ることが難しい、と私は思うからです。
(だから企業は、手法としてOff-JT・集合研修などを取り入れ、普段関わりのない人と関わる機会を設けるのだと私は思っています)

自らが外に出て、異なるコミュニティに所属し、「できない自分」、「まだまだな自分」をこれでもか!というくらいに体験すること。その体験をふりかえりを通じて経験に昇華し、教訓を得ていくこと。
その教訓を次の言動に活かしていくこと。


私はパワーリフティングを通じてこのサイクルを体験・経験できています。とても感謝なことです。
これからも意識して取り組んでいきます。

最後に宣伝。お世話になっているパワーリフティング専門ジム
TeamX-treme Power!!!はコチラ。

パワーリフティング最高!

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