「遺伝子組み換え植物を禁止する新法律を導いた社会運動」 ECG グット・プラクティクス20選(20) E4: 透明性と社会的な共同決議
本シリーズでは、ECG(公共善エコノミー)グット・プラクティクスに選ばれている20優良企業・団体を、公共善マトリックスの20項目に沿って、1社づつ紹介。
20社(団体)目は、南ドイツのEM-Chiemgau(EM-キムガウ)。地域の農家・市民と始めた遺伝子組み換え植物を禁止する運動が、保守的な政治を動かした。
E4: 透明性と社会的な共同決議
EM-Chiemgau(EM-キムガウ)社は25年来、EM菌(Effective Microorganisms 有用微生物群)商品の開発販売により、農地や菜園でのナチュラルな方法で土壌改良を支援している。大手国際企業などにより開発され、世界各地で導入が進められている遺伝子組み換え植物は、その理念に反するもの。会社は2006年、地域の農家や市民の有志で、当時、導入が政策的に検討されていた遺伝子組み換えトウモロコシを地域で使用することを禁止する運動を始める。最初の年に150回もの講演会を開催した。遺伝子組み換え植物の背景にある利権構造や農家の経済的リスク、環境や消費者の健康に対するリスクなどについて社会に情報提供していくなかで、過半数の農家と市民が支持するバイエルン州を中心とする大きな社会運動へと発展した。2009年には、この社会的な圧力を背景に、保守党CDU/CSUの連邦農業大臣は、遺伝子組み換えトウモロコシのドイツでの栽培を禁止する法律を発効させた。
https://web.ecogood.org/media/filer_public/bc/c0/bcc041d5-3bc2-4e7a-8d2e-3896554bda6e/2021-04-07-good-practices-web.pdf
https://em-chiemgau.de
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世界35カ国、3000以上の企業・団体が参加するECG(公共善エコノミー)運動の主要ツールは「公共善決算」。横軸に人間社会の基本価値4つと縦軸に5つのステークホルダーからなる「公共善マトリックス」で、企業や団体の倫理的・社会的・エコロジカルな経営をホリスティックに評価する。SDGs17目標もすべて含む「公共善決算」を行う企業・公益団体、自治体、教育機関は、世界的な草の根ボトムアップ運動の先導役。
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https://note.com/noriaki_ikeda/m/m13ff063cc3f9