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地方発の新しい起業のかたち 〜共同創業型投資モデル〜

はじめに

株式会社POLAR SHORTCUT(ポーラー・ショートカット)の大久保です。普段は札幌で、スタートアップ投資(ベンチャーキャピタル)をしています。

つい先日、札幌発の観光系スタートアップである「株式会社プレスリー」に当社ファンドから出資を行いました。
今回の投資は「会社の設立前から一緒に事業アイデアを考え、法人設立が完了したら速やかに投資する」という、一般的なVC投資とはちょっと異なる形式にチャレンジしてみました!

当社ファンドでは、今回の投資形式を「共同創業型」モデルと名付け、これが地方における「新しい起業のかたち」になるはずだ!と期待しています。今回のnoteでは、その可能性について詳しく触れていきます。

地方でのスタートアップ振興の課題

国全体としてスタートアップ振興を進めようという掛け声がかかるなか、北は北海道、南は沖縄まで、いろいろな地方のプレイヤーが「東京以外の地域でスタートアップを生み出すにはどうすれば良いか?」というテーマに日々向き合っています。

過去のnoteの記事でも詳しく書いていますが、地方でのスタートアップ振興を進めるにあたり、唯一かつ最重要な課題は「起業家の数が少ないこと」なんです。
地方ではまわりにロールモデルが少ないこともあり、起業というカードが人生の選択肢に入ってこない人がほとんど。
そのため、次世代の起業家を生み出すためには「地域にとって適切なロールモデルを、戦略的に作っていくこと」が非常に重要です。

共同創業型の投資モデルとは?

今回当社ファンドで取り組んだ投資のかたちは、「会社の設立前から一緒に事業アイデアを考え、顧客へのヒアリング等を通じて、イケそうだという手応えが掴めた段階で具体的な投資検討を済ませ、法人登記と銀行口座開設が完了次第、速やかに投資を行う」というものです。

デザイナーやエンジニアの稼働を無償で提供することまではできていませんが、資金とビジネス開発のリソースを最初から提供するという意味では、「スタートアップスタジオ」と呼ばれる座組みに近いことをやっています。

そして、記事を読んでいる皆さんが知りたいであろう、実際にこのモデルで事業立ち上げをするときの(起業家にとっての)メリットはこんな感じ(↓)です。

★ぼんやりと抱えている課題が、新規事業や起業という形に昇華される
今回の渕上さんのように業界経験が長く、現場の課題やオペレーションに精通している方であれば、実のところ「事業アイデアの種」はたくさん持っています。
しかしながら、事業づくりの経験が不足している故に、それを具体的なサービス・ソリューションに落とし込むことが難しいという方がほとんどです。
この「課題発見 → ソリューション開発」のSTEPをフォローアップできるのが、共同創業型モデルの最大の強みです!

★事業計画・ファイナンスプランの策定支援
ソリューション開発と同様に、ほとんどの方は事業アイデアを適切な「事業計画」に「数字で」落とし込むことを苦手としています。
通常、銀行融資やベンチャーキャピタルからの資金調達を行う場合、それぞれの趣旨に合致した事業計画が必要になります。これが結構大変で難しい。
ですが、このモデルでは、それらの計画は当社ファンド側で(私が)作ってしまいますので、ハードルがなくなります。さらに、助走のための資金提供(今回は1,000万円)も一緒にしちゃいます。
また、今回は創業関連の補助金申請書の作成なども私が行い、無事に150万円以上の金額で採択されました。

★プロダクト開発やバックオフィスのノウハウ提供
プロダクト開発の手順(どのようにアイデアの要件定義をしていくか)も創業初期には大きな課題になります。
今回のプレスリーのプロダクト開発では、ラフ案の段階から私の友人のプロダクトマネージャーから率直な意見をもらうなど、経験豊富な開発者のアドバイスをもらいながら企画を進めました。
また、私自身が前職でコーポレート責任者としての経験があり、司法書士や税理士の先生の紹介もできますので、バックオフィスに関する悩みを抱えることなく、重要な「事業づくり」の部分にフォーカスできるのもメリットだと思います。

事業づくりで大切なことを実感。

普段はVCという立場ながら、今回は自らスタートアップの「0→1フェイズ」の事業開発に取り組んでいます。まだプロトタイプ開発は途中ですが、現段階でも相当の学びがあったので、これは事業づくりの肝だ!と実感したことを参考までにまとめておきます。

★作る前に売る。
今回、うまくプロジェクトが進んだなと感じているポイントの一つが「完成したらぜひ使いたい!と言ってくれるお客さんが、(開発前の)プレ営業提案の段階でかなりの数集まった」ことです。
さらに言うと、プレ営業提案の段階で様々なフィードバックをいただけたことで、開発に着手する前に「どこに軸足をおいてプロトタイプを作れば良いのか」という輪郭がかなりクリアになりました。
とりあえず「プロトタイプを使ってもらって検証する」と言う人が結構いますが、(UXでなく)顧客ニーズの検証に関しては、プロトタイプを開発する前にできる限りしてしまう方が良い気がします。

★MVP(必要最低限の機能)は、絞りに絞る。
知識としては知っていても、実際にそのとおりにするのが難しいのがこれです。
今回、我ながら良い感じのワイヤーフレームが作れたな〜と思い、意気揚々と外部のエンジニアに見てもらったのですが、「ログイン機能ってプロトタイプではいらないんじゃない」とか「データベースを作らなくても最初はGoogle Spreadsheetでもいいんじゃない」とか、ビジネス的には当然必要だと思っていた要件が、実はToo muchなんじゃないかという目から鱗のアドバイスが。
初期にこういう指摘をしっかりしてくれる経験豊富なエンジニアが身近にいるかどうかで、成功確率が大きく変わるのだなと感じました。

さいごに 〜 一緒に事業を考えられる方を募集! 〜

今回は「共同創業型」の投資モデルがどのようなもので、どういうメリットがあるのかについて、簡単ですがまとめてみました!
当社ファンドでは「北海道」という地域にフォーカスして事業展開を進めておりますが、きっとこの手法は他の「地方」でも、スタートアップ創出の手段として有効な打ち手なんじゃないかなと思っています。

そして、今後の話ですが、当社ファンドではこういった共同創業型の事業開発を今年から来年にかけて、もっともっと取り組んでいきたいと考えています。

もし皆さんのまわりに↓のようなタイプの方がいれば、ひょっとするとその人と一緒に、世の中を変える新しい事業を生み出せるかもしれません。
・特定業界で長く経験があり、現場の課題やオペレーションに精通している
・業界に明らかに非効率な領域があり、変えたいと感じている
・今までに新規事業や経営などの経験はないが、できるようになりたい

個人的には特に、農業・酪農・水産業界などの一次産業の現場にはまだまだ、事業アイデアが眠っていそうだと感じています。

最後までお読みいただきありがとうございました!自薦・他薦問わず、チャレンジしたい方からのご連絡をお待ちしています!ご連絡はこちらまで。
Mail:info@polarshortcut.jp
Twitter:@OkbNori

PS:今回の取り組みを通じて、当社ファンドにも技術観点でのアドバイスができるCTOがいたら...と思い始めました。副業前提ですが、興味あるよ!という方がもしいましたら、こっそりメッセージをください。

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