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【オーバーヘッドプレス】腰を反らさないための『トルソードライブ』の使い方

今回は、オーバーヘッドプレス(以下、OHP)で腰を反らさないための「体の使い方」について解説していきます。

OHPは、肩~肩甲骨周囲を鍛える筋肉で「肩:三角筋」「肩甲骨:僧帽筋・前鋸筋」が主働筋として働きます。そして、全身の筋肉が「補助筋」として働き続けることで、これらの主働筋が活動しやすくなります。

ただ、OHPのフォーム習得は難しく、様々なエラー動作が起こりやすいです。その一つが「バーを押し出す際に腰を反らしてしまう」ことです。
そうなると主働筋の活動の低下、腰を痛める原因にも繋がります。

この記事を最後までご覧頂くことで、腰を痛めることなく、OHPができるきっかけになるはずです。

OHPのフォーム

「OHPのスタートポジション」
バーは顎から鎖骨の間にあります。上半身の姿勢は、顎を引いて頸椎~腰椎はバランスよく軽度伸展している状態です。特に、肩甲骨は下制したまま胸はしっかり張っていきます。下半身の姿勢は、骨盤は軽度前傾して股関節~足関節は安定している状態です。

[スタートポジション]

「OHPの上昇局面~トップポジション」
スタートポジションから顎を引いて股関節を前に突き出します。すると、バーを真上に押し出す空間ができ、そのまま押し出していきます。脇は軽く閉じた姿勢を維持しながら、「肩甲骨は下制」したままバーが頭を超えていきます。
その後は、顎を引いたのをスタートポジションまで戻して、肩甲骨を挙上させながら肘を張り出してトップポジションまで真上に押し出していきます。

[上昇局面 → トップポジション]

「下降局面~ボトムポジション」
トップポジションからバーを降ろしていくと同時に、鼻先がぎりぎり当たらないぐらい顎を再度引いて、バーが真っ直ぐ落とせるぐらいの空間を作ります。その際に、肩甲骨は挙上位から下制させて背中でバーの重量を受けながらバーを顎下に戻していきます。

[下降局面 → ボトムポジション]

この流れでOHPを行うことで、肩~肩甲骨の動作がバランスよく動いて「三角筋」だけでなく、肩甲骨の上方回旋に作用する僧帽筋と前鋸筋を鍛えることが可能となります。

特に上記の「僧帽筋中下部」は機能低下が起こりやすく、代償として僧帽筋上部の機能亢進によって肩こり症状や肩甲骨内側の痛みへと繋がっていきます。

首~肩甲骨~肩の不調がある方がOHPを行うことで改善するのは、肩甲骨周囲の筋の活動が高まることが要因の一つと考える事ができます。
※明らかに上記の部位に痛みがある場合、速やかにトレーニングを中止して、整形外科で診断してもらってください。

Torso Drive(トルソードライブ)の使い方

OHPでバーを押し出すきっかけになる力が「トルソードライブ」と言われています。

Torso:胴体 Drive:原動力 Torso Drive:腹筋による溜め込んで押し出す力

スタートポジションで腹圧を高めて腹筋群に力が働いている状態です。そこから顎を引くことで、胸椎と腰椎が伸展していくと同時に腹筋群が伸張されていきます。この腹筋群が伸ばされている間は「力を蓄えている状態」です。バネが縮んでいるようなイメージです。
鼻先がバーと当たらないぐらい顎を引いたら、腹筋群で耐えた力を一気に押し出していきます。すると、バーを挙上していくきっかけとなっていきます。

トルソードライブを正しく使うためには、腹筋群の付着部である骨盤が安定していることが条件となります。下半身の骨盤の後面を支える大殿筋や前面を支える大腿四頭筋が活動し続けることで骨盤が安定していきます。
下半身で踏ん張り続けないと、骨盤が前傾していき腰が反った姿勢となります。
反り腰になると「腹筋群の機能低下が起こりやすい」ため、トルソードライブが使えなくなり、スタートポジションから姿勢が崩れていきます。顎を引いていくと、腰椎が胸椎より伸展していき上半身がさらに反ります。

上記フォームでは肩甲骨も自然に動かすことができずに、より肩を主体とした押し出すフォームで、肩甲骨を支える僧帽筋や前鋸筋の活動が低下しやすいです。

腰痛、不自然な肩~肩甲骨の動作を未然に防ぐためにトルソードライブが重要となります。

ただ、OHPは他のBIG3と比較しても不安定なトレーニング種目です。地面に着いているのは「足底」だけなので、勢いよく押し出そうとすると姿勢が崩れる可能性が高いです。トルソードライブを活用する際には、あくまで、腹筋群で耐えてバーを挙上する際には、勢い任せでやるのではなく丁寧に押し出すことをおすすめします。

腰が反る原因

先程、腹筋群が使えないと腰が反ってしまうと解説しましたが、その原因はいくつか存在します。今回はフォームの目線で解説していきます。

①股関節の問題(前方突き出し)

OHPのスタートポジションから「上昇局面」において、顎を引くと同時に股関節を前方に突き出すことで、骨盤が過剰に前傾しないように保ちます。ただ、後で解説する下半身で踏ん張りきれないと、股関節を前方に突き出す事ができなくなります。

腰が反ってしまう方は、一度股関節を前に突き出す意識をしてから顎を引いてみましょう。これで上手くできずに腰の方に力が働く感じがある人は下記のポイントへ進んでいきましょう。

②重心線の問題(後方移動)

重心線はミッドフット(足の真ん中)で保つことで「股関節を前方に押し出す」余裕ができます。足部に問題(捻挫の後遺症など)や姿勢不良によって、重心線が踵側になっている方もいらっしゃいます。
踵重心になると、股関節が重心線より後方に位置して、骨盤も前傾していきます。その状態で無理に股関節を前方に付き出せずに腰が反ってしまいます。

 踵重心になっている方は少しだけ指先に力を入れて地面を軽く握る意識をすると、地面を踏ん張りやすくなり「腹筋群」が活動しやすい姿勢になります。

③下半身の問題(筋活動の低下)

最後に下半身の筋活動です。OHPは上半身を強化する種目ですが、ベンチプレスと違って地面に着いて安定しているのは足底だけです。ベンチプレスと比べても「下半身で姿勢を保つ」必要があります。下半身で踏ん張る力が働かないと、骨盤が不安定で股関節を突き出すことができません。代償動作として骨盤が前傾して腰が反っていきます。

上記のエラーが出てしまう場合、特に股関節を支える大殿筋と膝を支える大腿四頭筋の活動を高めることで解消していきます。スタートポジションにおいて最初から股関節を前に突き出して殿部で支えて、膝は伸ばし続けるようにしましょう。下半身で踏ん張り続けることが可能になり、姿勢が安定していきます。

まとめ

OHPで「トルソードライブ」が働くことで、バーを押し出すきっかけとなる力が働きます。そして、無駄に腰が反らないために「腹筋群」で支え続ける役割も果たしています。腰が反ってしまうと、腰痛以外にも肩周りの筋肉が上手く働くことができなくなります。
そして腹圧が働かない以外にも様々なエラー動作によって、股関節を突き出す事ができずに腰が反ってしまいます。

もし、OHPを続けていて、フォームが不安定になったり、腰にストレスを感じる方は是非試してみてください。

OHPのフォーム解説はこちらからどうぞ↓↓

実際にOHPの指導を受けたい方はホームページにてご予約承れます。

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