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【スクワット】股関節の運動軸から考える、深くしゃがむ方法【解剖学】

今回はスクワットでしゃがむときに、より自然と深くしゃがむ方法を解剖学の目線から解説をしていきます。スクワットの動作を解剖学的に大まかに分けると、股関節・膝関節の屈曲、足関節の背屈運動になります。ここからさらに、脛骨や大腿骨の回旋運動も必要になり複雑な運動となります。

スクワットで深くしゃがむために必要な関節の動き

スクワットで深くしゃがむために、重要な関節は『股関節の屈曲』と『足関節の背屈』の可動域をどれだけ高く出来るかがポイントなります。大半の人は正座が出来るくらいの膝関節の屈曲可動域をお持ちだと思います。これは膝関節を支持している軟部組織が靭帯による影響が大きいためです。もちろんしゃがんでいく際には、大腿四頭筋やハムストリングス、更には、下腿部の下腿三頭筋などの多くの筋肉が必要となり、膝関節の可動域制限になりうることもありますが、股関節と足関節と比較した際には、可動域に富んだ関節になります。

下記の動画では、スクワットで膝が不安定で痛みが出る原因や改善方法について解説しています。問題を抱えている場合、参考にしてください。

そして次に足関節ですが、足関節も膝関節と同様に靭帯による支持が大きいですが、足関節を構成する「脛骨と腓骨を合わした下腿骨」と「距骨」の可動性が悪くなることで「可動域制限」に繋がります。足関節の底屈・背屈運動をする際には距骨は前方・後方へと移動する必要がありますが、足趾の運動に必要な筋群や下腿三頭筋が過剰に働き緊張することで、足関節の背屈運動時の距骨の後方移動が上手く出来ずに可動域制限となりうることがあります。さらには、足関節の背屈運動時に働く前脛骨筋の筋力低下によっても可動域が制限され、スクワットでしゃがむ際に、膝を前に出すことが出来ずに踵重心でしかしゃがむことが出来なくなります。

下記の動画では、スクワットに必要な足関節の可動域制限を改善するための方法を解説しています。しゃがみこめない場合、参考にしてください。

最後に股関節は、前後に動く「屈曲・伸展」内外に動く「内転・外転」内外に捻る「内旋・外旋」といった3軸運動が可能です。これは股関節が臼状関節といい、膝関節や足関節と比較した際に、自由度が高い関節となります。

股関節ですが、もちろん強靭な靭帯により関節の周囲を支持していますが、殿筋群や股関節屈筋群により、さらに安定性を保っています。そのため、股関節周囲の筋肉の柔軟性が低下することで、スクワット時の股関節の屈曲可動域制限に繋がります。

下記の動画で、股関節の可動域を獲得するためのストレッチ方法を紹介しています。

股関節の運動軸から見るしゃがみ方と矢状面からみるしゃがみ方

スクワットでは「股関節の屈曲角度」が高くなればなるほど、しっかりしゃがむことが可能になります。矢状面から見た際の股関節の屈曲と、股関節の運動軸から見た股関節の屈曲は少し方向が違い、関節の動き方が変わります。

矢状面上から見た股関節の屈曲

運動の方向の伝え方で矢状面という言葉を用います。これは、体を側面からみた前後の面となります。運動でいうと、屈曲・伸展となります。これは股関節に限らず、上肢の肩や肘などや、体幹部の前屈・後屈も含みます。矢状面から見る股関節の屈曲は、膝を真っ直ぐ挙上させる運動となります。

この矢状面上の股関節の屈曲をスクワットの動作に当てはめていきます。個人差はありますが、おおよそ大腿部が地面と平行になったあたりで、股関節のつまり感が発生、もしくは殿部の緊張がなくなり、代償動作で骨盤が後傾し「バットウインク」を起こります。これ以上深くしゃがむことは出来ず、フォームが乱れる原因になります。これは「股関節の運動軸」から見ているのではなく、あくまでも矢状面から見た動きのためです。

股関節の運動軸からみる屈曲

次に「骨盤側の寛骨臼」「大腿骨側の骨頭」の関節面からみた「運動軸」での股関節の屈曲運動を見ていきます。股関節の関節面というのは、矢状面からみると少し内方へと傾いています。この関節面に合わせた股関節の屈曲運動は、少し膝を外に向けた状態になり、股関節に負担をかけることなく、屈曲させることが可能となります。これは股関節を軽度外旋させた状態で屈曲していく運動です。股関節の運動軸では「屈曲・外旋」「伸展・内旋」の運動が働きます。

これをスクワットに応用させていくと、しゃがんでいく際にはつま先を少し外に開いて股関節面に合わせます。つま先を約10~30°開くと自然と股関節に合った角度に近い状態で股関節を屈曲させることが可能です。このまましゃがんでいくと、矢状面上での股関節の屈曲と比較してもスムーズです。股関節の屈曲角度も高くなり、つまり感が改善され殿筋群の緊張を保ち続けることが可能です。

■まとめ

スクワットで深くしゃがむためには、足関節〜股関節の屈曲角度を高める必要があります。特に股関節は少し複雑で、骨格や関節面から状態を知ることで、つま先の角度を設定して、しゃがんでいくときには股関節の外旋が必要となります。つま先を前に向けたフォームでは、股関節が窮屈になることが多いので、つま先を少し外を向けた「股関節の運動軸」に合わせたフォームでスクワットをすると、自然にしゃがむことができます。

スクワットで上手くしゃがめない方は是非試してみてください。

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