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春を待つ楽しみ、冬の音

11月末に慌ててタイヤ交換をしたものの、その後コートがなくても平気なほど暖かかったり、かと思えば急に寒くなったりで、結局路面が白くなるほど雪が降ったのは、まだ2度ほど。

師走特有の慌ただしさと冷たい北風に負けてお休みしていたけれど、きょうは久しぶりに森さんぽへ。


陽射しがぽかぽか

今朝の最低気温は-6℃、道路脇に霜柱をみつけました。

昔々、小学校へ通っていたころ、自宅から学校までだいたい30分。近すぎず遠すぎず、なにか考えごとをしながら歩けばいつの間にか着いてしまう、ちょうど良い距離。

けれどもさすがに冬はつらかった。
赤いふわふわのジャンパーを着ていても、ポンポンのついた毛糸の帽子をかぶっていても、寒いものは寒い。

頬と鼻のてっぺんを赤く染めて、まっ白な雪に覆われた中央アルプスを正面に望みながら歩く通学路。ささやかな楽しみは、『いちばん』になること。

まだ誰にも踏まれていない、道ばたの霜柱
まだ誰にも割られていない、窪みに張った氷

サクッ、
ピシッ、


モリっと

きょうも『いちばん』に乗ってみたけれど、土が硬すぎたのか、残念ながら音は聞こえず。

木漏れ日のまだらのなかを歩いていると、太陽がとてもありがたいものに感じます。夏は恨めしくなるほどだったのに、冬の陽射しは生きる希望といったら大げさだけど、そのくらい、ありがたいなぁと思える存在。


万物に平等に降り注ぐ

ちょっと気分を変えたくて、ふだんあまり通らない脇道に入る。もともと静かな森ですが、そこはよりいっそう静の空間で、わずかに聞こえるのは樹々に遮られて遠くで鳴く風の音くらい。

耳をすませば樹と樹の話し声が聞こえてきそうな静けさに、いまこの森の中には私しかいないんじゃないかと少し不安になりながらも、足元からわずかに届く落ち葉の香りを楽しみながら、ゆっくり、ゆっくりと、歩きます。



クマザサ茂る


苔も茂る

どうしても茶色が多くなるこの季節に、緑を保つクマザサや苔は生命力を感じさせてくれる頼もしい存在。そしてやはり緑は癒しの色ですね。ここに雪が重なれば、それもまた綺麗だろうなぁ。

冬の眺めは寂しくもありますが、すっきりとする分、葉が多い茂っていたときには気づかなかった景色に出会えることがあります。隠れていた宝物を見つけたようで、楽しく嬉しい瞬間です。


この一本に、ひとめぼれ


森の散策に満足したので、こんどは小さな湖のほうへ向かうと、こちらも冬の姿になりつつありました。この数日の冷え込みで、湖面が結氷したようです。

まだまだ薄~い氷


閉じ込められた枝


近づくと、氷がせめぎ合う音が聞こえます。

ギューッ、ミシッ、ギシッ、

これも、冬しか聞けない音。
一方、陽当たりの良い反対側では、カモたちが日向ぼっこしていました。


のどかだなぁ


氷上でくつろいでいる鴨も

湖の半分以上が凍っているので、こちらがわに密集したカモたちの賑やかなこと。でもこのさき前面結氷したら、この子たちはどこへ行くんだろう?氷上生活?ちょっと気になるから、また来たときに覗いてみよう。

冬来ふゆきたりなば 春遠はるとおからじ

なんとなく思い出した言葉です。

冬至を過ぎると、一日一分ずつ日が長くなるといいます。
冬は、春を待つ楽しみを味わう季節。
大切に過ごそうと思います。

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