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山種美術館を訪ねて

4月上旬のとある日、東京渋谷区広尾にある山種美術館を訪ねました。
JR恵比寿駅から東へ向かい、なだらかな上り坂を10分ほど歩いた場所にあります。周辺は、通り沿いにもかかわらず車通りはそれほど多くなく、ゆったりとした空気を感じました。

山種美術館は、山崎種二(1893-1983・山種証券[現SMBC日興証券]創業者)が個人で集めたコレクションをもとに、1966(昭和41)年7月、東京・日本橋兜町に日本初の日本画専門美術館として開館。その後千鳥ヶ淵近くへの移転を経て、2009年に現在の渋谷区広尾で新美術館がスタートした様です。

この日本画専門美術館というところに大いに惹かれ、以前から気になってはいたのですが、なにしろ東京まで行かなくてはなりません。なかなか腰が上がらずにいたのですが、半年前からふいに月一回の東京通いが始まり、ついでに色々な場所を訪れるようになりました。
そしてついに、念願の山種美術館へ行くことができました!

とても立派なビル(写真をとり忘れた)へ足を踏み入れると、美術館の受付がありそちらでチケットを購入。館内の案内を受けました。1Fはロビーとミュージアムカフェ、展示室は地下1Fにあるようです。早速地下へ向かいます。

さりげなく客層をチェックすると、やはり広尾という場所のせいか、マダム率がかなり高いです。この日の私の服装はまったくマダムではありませんでしたが、心はマダムのつもりで展示室へ入りました。

なお、今回の展示内容ははこちら。

美術館HPより

展示室は、一室が真ん中で可動式の壁により仕切られたコの字型のスペースに、富士山のエリア桜のエリアと分けられてそれぞれの作品が飾られています。

さすがは富士が題材というだけあって大型の作品が多い中、思わず見とれてしまったのは小さめの作品。作品名と作者を確認すると、

『山中湖富士』 奥村土牛

とありました。奥村土牛(おくむらとぎゅう)、名前は聞いたことがあったけれど、あまり意識して作品を見たことは今までありませんでした。しかしこの山中湖富士は・・・すばらしい。ものすごい引力で引き寄せられました。

周りに力強い富士が並ぶ中、奥村土牛の富士はとても優しく、そしてこの山中湖富士はなんとも爽やか。雲から突き出た富士は群青色、そして空は水色。これからの季節を想像して清涼な空気を感じました。絵の前に5分くらいはいたかもしれません。

富士山エリアが終わり次は桜エリアへ。
そしてここでも奥村土牛の作品に引き寄せられます。フライヤーにも掲載されている『醍醐』、私は知りませんでしたが、こちらの作品は土牛の代表作の一つでかなり有名なようです。花びらのふわふわした感じがとても優しく、いつまでも眺めていたくなる作品です。

土牛以外にも、私の大好きな上村松園を始め、菱田春草や橋本雅邦など名だたる作家の作品が並び、日本画好きにはたまらない至福の空間でした。

きっとまた来るだろうな・・・と思いながら次回特別展をチェックすると、なんとあの!速水御舟(はやみぎょしゅう)の『炎舞』が登場するようです。

美術館HPより

これは見ずにはいられない!また一つ楽しみが増えました。

至福ついでにミュージアムカフェで一服。

和菓子とお抹茶のセット お茶碗も桜色🌸

東京には、まだまだ訪れてみたい美術館がたくさんあります。ひとつひとつ、じっくりと味わっていきたいです。

〈おまけ〉
醍醐の・・・ではなく、近所のしだれ桜。ちょうど二週間前に見頃を迎えていました。

今シーズン最後のお花見🌸

お気持ちありがとうございます。大切に使わせていただきます。