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信州戸隠紀行 2023秋~④ 落葉松の秋と紅葉

これまで気になりながらも、時間と体力両方の条件が揃わず、立ち寄る機会がなかった戸隠森林植物園。今回はめでたくどちらもクリアして、散策開始です。

長野県HPより

園内は広く、どのルートを通っても気持ちよさそうですが、あまり奥深くまで行くと戻ってくるにも時間がかかるので、”ほどほど”でいこうと思います。

入口付近

入ってすぐ板木の散策路になり、この新鮮な景色にまず驚きました。てっきり奥社参道と同じように土の上を歩くものと思っていたので、意外な足元にわくわく。

5分に1回人に会うか会わないかという静かな森のなか、ポクポクと板木を踏み鳴らしながら進んでいくと、すぐ近くに小鳥がやってきておしゃべりしたり、水がさわさわと流れていたり、穏やかで心地よい音が聞こえてきます。

水面に落ち葉が溜まった様子も
また美しい
だんだんとクマザサが多くなります

樹木の大半が落葉するなかクマザサは青々としていて、景色に色を添えています。やはり、緑があるとほっとしますね。

いつも、信濃町ICから戸隠へ向かう道中、徐々に標高が高くなり戸隠高原へ近づいているんだなと実感できるのが、このクマザサです。『クマザサが増えてきた=高原=もうすぐ戸隠』という方程式がいつの間にかできあがりました。

ん?そういえば、いつもの散歩の森にもクマザサの茂っている場所があったな、、、ということはやっぱりあそこは高原なのか!

青々と茂る

とにかく空気が清々しい。ここは森林植物園であって戸隠神社の境内ではないけれど、戸隠山からの清浄な気は、まちがいなくここにも満ちていると感じました。

ひとつだけ気になるのは、熊出没注意の看板の多さ。そうか、ここも熊か。周りに人はいないし、熊鈴も持っていないし、じゃあせめて歌でも歌おうかと、『森のくまさん』を口ずさみながら歩きました。すると、向こうの方から・・・

”ヒト” が来ました!

あ、よかった、人で。
相手も熊との遭遇を心配していたのか、不安そうな表情と声で「あの、熊いませんでしたか?」と尋ねてきました。

「大丈夫ですよ!いませんよー(スマイル)」
すこし安心した様子で歩いていかれましたが、どうか、熊さん出ませんように。祈

分かれ道にあたり、どちらの道へ行こうかと案内板を見ると、『カラマツ園地』の文字をみつけました。カラマツと聞くと思い出すのが小林秀雄作曲の歌曲『落葉松カラマツ、以前合唱で歌ったこともある大好きな曲です。

落葉松の 秋の雨に わたしの手が濡れる
落葉松の 夜の雨に わたしの心が濡れる

軽井沢の落葉松林に着想を得て書かれた詩に、美しいメロディーが添えられたこの歌曲は、聴いていても歌っていても、とても心地よいのです。これまで想像するだけだったカラマツを、まさかここで見られるなんて。嬉しい!

カラマツは日本の固有種で、唯一落葉する針葉樹。すでに落葉がはじまっていましたが、初めて目にしたカラマツ林は、まわりの景色を黄色に染め、クマザサの緑との対比も絶妙で、その美しさにしばらく時間が止まりました。


これが 落葉松林


みどりが池
出口はもう、すぐそこ

静かで、神秘的な森林公園。
ほんの30分の散策でしたが、とても満たされた気持ちになりました。

◇ ◇ ◇

奥社参拝から歩き続けてさすがに足が疲労してきたので、車へもどって一旦休憩タイム。座席を倒してのんびりしていると、まるでこのタイミングを待っていたかのように、パラパラと雨がやってきました。九頭龍神の歓迎のしるしかな?

筋肉痛もほどよく回復、雨も通りすぎたので再び行動開始!
途中、中社へ寄りみちして御朱印をいただき、戸隠五社のうち四社めの宝光社へ。

五社のうち一番南にある
宝光社

◇ ◇ ◇

戸隠神社 宝光社ほうこうしゃ

御祭神:天表春命(あめの うわはるの みこと)
1058年、奥社から現在地へ御祭神が遷され創建。

五社が創建された順序を整理すると、九頭竜社 → 奥社 → 宝光社 → 中社 → 火之御子社、宝光社は三番目に古い歴史をもちます。

女人禁制の戸隠神社奥社へ、お参りすることが叶わない女性たちのためにできたのが、この宝光社といわれています。そのせいでしょうか、社殿内は赤い漆の装飾がみられ、麗しい雰囲気が漂っていました。


五社中一番古い社殿は
彫刻もすばらしい

と、いきなり社殿の紹介をしましたが、じつは社殿へたどり着くには、きつ~い階段を上らなければなりません。(ここでも試練が待ち受ける)

宝光社へ着いて嬉しかったのは、紅葉がまだ残っていてくれたこと。奥社・中社より一段下る宝光社地区は、戸隠五社のなかで最も標高が低く、紅葉の見頃を迎えるのも一番あとになります。

待っていてくれて、ありがとう。

あぁ、美しい


美しいなかの、この階段が・・・
試練


覚悟はよいか?


では、行きましょうか。

この階段はいったい何段あるのか?
今回、上りながら段数をカウントしてみました。

第1ステージ・・50段 よし、いけた。
第2ステージ・・56段 まあ、いけた。
第3ステージ・・86段 きつい!途中一度休憩して、なんとか上りきった。

合計192段の試練を乗り越えて、ようやく本殿へお参りできるというわけです。(女坂もありますが、正面からお参りしたかったので階段を利用)

ひと息ついてからお参りを済ませ、次の目的地はいよいよ五社巡りさいごの火之御子社ひのみこしゃ。中社へとつながる戸隠古道の神道かんみちを歩いて向かいますが、それはまた次回に。

つづく


合唱曲『落葉松』に興味のある方は、こちらからどうぞ。
あらためて聴きましたが、やはり美しい曲です。

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