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ネームデザイナーを名乗るまで、どんな名前をボツにしたか

最近、自分にできることって何だろうかと見つめ直してまして。「やりたいこと」はいっぱいあるけど「人に求められること」「社会の役に立つこと」に、もっと力を尽くしたいなと思うんです。

それで、自分の資質が診断される『ストレング・スファインダー』をやってみたら面白いよと友達に勧められて試しにやってみました。

資質の1位は「着想」で、こんなことが書かれました。


「着想」とは、皆がなかなか解決できずにいる日常的な問題に対して、新しい見方をすることです。
「着想」の資質が高い人は、新しいアイデアを考えるのが大好きです。見た目には共通点のない現象に、関連性を見出すことができます。


あ、だから僕は子供のころからダジャレが得意なのかと思いました(笑)。

で、そんな「着想」で誰かの役に立てたことがあったかなあと思い返してみたところ、「ネーミング」がありました。

商品名とかチーム名とかイベント名とか、僕は何でも名前をつけるのが好きなんです。

「なんか、いい名前ない?」と声をかけられることも、よくあります。

そこで、考えました。

「ネーミング」に特化した事業で、もっと誰かの力になれるんじゃないかと。

そこで今日から「NAME DESIGNER」を名乗り、ネーミングに特化した新事業を始めます。

サイトも急きょ作りました。




なぜネームデザイナーなのか


この「ネーミング」に特化した事業を始めるにあたり、やっぱり名前が大事だなと思いまして。

人様にネーミングのお手伝いをしますと言いつつ、その事業の名前がいまいちだったら説得力に欠けるじゃないですか。

そこで「NAME DESIGNER」という名前に至るまでに、ボツにした案をいくつかご紹介したいと思います。


Namer(ネイマー)


まずは「名前を付ける人」という意味の言葉があればそのまま通じるのではないかと思って検索したところ、「Namer」という英語が見つかりました。

名付け親のことを「Godfather」とも言いますが、それだとシチリアのマフィアが脳裏をかすめそうなので、ズバリ「Namer」でいいのかなと。

ただ、Googleで「ネイマー」とカタカナで検索してみると、サッカー選手の「ネイマール」がヒットしてしまうんです。

Googleは造語に弱くて、どうしても近しい言葉で検索頻度の高いワードをサジェスチョンしがち。

もちろん「ネイマー」がネイマールを上回るくらい流布すれば問題ないんでしょうけれど、その道のりはきっと果てしない。

そういうときは、さっさと降りて別の道を行くことにします。


Na Mae Clair(ナマエ・クレール)


その人に依頼したら、名前をくれーる。

という駄洒落ですね。ドラえもんの道具で「フエール銀行」というのがあるのですが、それも頭をよぎりました。

ただ、この事業を冗談でやってるように受け取られそうな気がして、ボツにしました。

もちろんアイデアを出すときはやわらかい頭が必要ですし、ときには冗談も交えるような精神状態が求められますが、やはり対価をもらって依頼に応える事業にするなら真剣勝負。

もっと本気度が伝わる名前にしようと考え直しました。


Mogu Light(モグライト)


ちょっと趣向を変えて、ネーミングをするときにどういう道筋をたどるのか、絵でイメージしてみました。

すると、土の中から顔を出すモグラが太陽の光でまぶしそうにしている絵が頭に浮かびました。

ぜったい出口はあると信じて駆けずり回るも、なかなか見つからない。でも、ひとたび出口を見つけて外に顔を出してみたら、なんと太陽のまぶしいことか。そのときの恍惚とした感じが、「これ!」という名前が見つかったときの感覚に似てるかな、と。

そうして「モグラ」と「ライト」をかけあわせて「モグライト」としました。うん、悪くないだろう。

そう思った矢先、またもGoogleが余計なことを教えてくれました。すでに「モグライト」という商品があったのです。光と音でモグラ等の害獣を追い払う防獣用品でした。

モグラ、追い払われちゃった。


THE NAME / ザ・ネーム


もう、まわりくどく考えるんじゃなくて、原点回帰で「ズバリ」でいいんじゃないか。だったら「THE NAME」がいいのでは、と思いました。王道感もありますし。

クリエイティブディレクターの水野学さんらが名を連ねる「THE株式会社」という会社がありまして、「醤油さしと言えばこれ」「洗剤と言えばこれ」と、本気で勧めるプロダクト・ブランドを展開されてるんですね。

丸の内の「KITTE」などに直営店もあります。

同じように「ネーミングを依頼するならここ」と思ってもらえる一等地を取れないかと思い、「THE NAME」と名づけました。

うん、これでほぼほぼ決まりかなと思い、仕上げとして「サイトのドメイン」と「商標」を調べてみました。

すると「the-name.com」はすでに取得されていることが判明しました。

まあ、ドメインについては「.com」の部分を別の何かに変えれば取得できる可能性があるのですが、問題は商標でした。

まさに名前にまつわる商標調査だったり名前の候補を提示する事業を展開されているらしいイギリスの会社が、日本国内で「NAME THE NAME」という商標を取得されてたんですね。

あ、これはダメだ、と思いました。かぶりすぎてる。


Name Designer / ネームデザイナー


小一時間ほど落ち込んだあと、ドリブルデザイナーの岡部将和さんのことを思い出しました。

以前からcakesの記事でも存じ上げていたのですが、先日、NHKの『逆転人生』という番組に出演されていて、「ドリブルデザイナー」という肩書が改めて「いいな」と思ったんです。

どう「いい」かというと、新しい職業であることが肩書きでずばり表現されているところ。

何かの職業に憧れて、その分野で一番になることは素晴らしいことですが、誰もやってないことだけど自分の得意なことを突き詰めた結果、それが職業として確立するのも素晴らしいこと。

そこに名前がつけば、他の追随を許さない。

まさに岡部さんも「ドリブル」というものに特化して、「ドリブルといえば岡部」のポジションを確立された。これは世界に新しい番地を作ったようなものだと思うんです。

そこで僕も「ネーミングに特化して依頼を受ける」という部分をより強調したいと思いました。「ネーミングといえばこの人」の番地を取りにいく。

そうしてたどり着いたのが「ネームデザイナー」という言葉でした。

この名前のポイントは3つあります。


1.ありふれた言葉の組み合わせ

「ネーム」も「デザイナー」もそれ単体ではありふれた言葉です。でもその2つを組み合わせて、新しい言葉をつくることはできます。

造語は奇をてらえばいいわけではなくて、誰でも知ってる単語だけど「その組み合わせは今までなかった」というパターンがもっとも印象に残ると僕は考えます。

そういう意味で、ありふれた単語の組み合わせあるところはひとつポイントだと思っています。


2.耳馴染みのある言葉を変化

言ってしまえばダジャレですが、耳で聞くと「ゲームデザイナー」に似ています。

「ゲームデザイナー」という職業はすでに世の中で確立されており、その言葉も一般的に広まっています。その背景を利用させてもらって、そこにすこしだけ変化を加えました。

そうすることで「耳馴染みのある語感なのに新しい」という境地を獲得できます。


3.新しい言葉で新しい職業を確立

ネーミングというのは何も新しい分野ではありません。広告業界をはじめ、得意な方はごまんといらっしゃいます。

そんな中でも「ネーミングだけ専門でやる」という人はいなかったのではないでしょうか。(いらっしゃったら勉強不足です、ごめんなさい)

であれば、その職業名にこそネーミング力が発揮されていなければいけないと思いました。新しい言葉で、新しい職業として認知してもらう、それが一番大事ではないかと。

そうして最終的に落ち着いたのが「ネームデザイナー」。新しい職業を確立するのはこれからですが、認知のしやすさで言えばクリアできたかなと思っています。


いい名前なんて、ない


最後に、逆説的ですが「いい名前」というのは、ないと思っています。

それがユニークで価値あるものなら遅かれ早かれ「これしかない名前」に落ち着くはずで、名前だけがいいってことはたぶんないんです。

だから名前を探す前に「それのいいところは何か」を探すのが先ですし、そのお手伝いが僕にはできるんじゃないかと思っています。

僕はこの10年、曲がりなりにも文具や雑貨を販売するメーカーを営んできて、大手に立ち向かうために独自のポジションをつかもうと、オリジナル商品にこだわってきました。

そのどれもに、独自の名前をつけました。

その経験をふり返ると、商品にちゃんと特長があり、その価値がどこにあるかを理解できているときは、名前は自然と決まっていました。コンセプトがはっきりしてると、名づけに苦労しないんです。

逆に名づけに苦労したものは、やっぱり売れなかった。しっくりくる名前が浮かばないからと、販売を取りやめたこともありました。

ある意味、名前が自然に決まるかどうかは「社会にその価値を提示できているかどうか=(受け入れられるか)」の試金石なのだと思います。



というわけで、今日から「ネームデザイナー」を名乗り、ネーミングに特化して依頼を受けつけ始めます。

新しいモノを作ったり、新しいことを始めようとしてるけど「いい名前が浮かばないなあ」という方がもし周りにいらっしゃったら、「ネームデザイナーという人がいるらしいよ」と伝えてもらえたら嬉しいです。

どうぞよろしくお願いします。


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