見出し画像

幸せの食べ物

 私たちは気持ちよく楽しく生きているだろうか? 幸せだと感じながら日々を過ごしているだろうか? 実は私たちの幸せ、楽しい、といった感覚は腸や細胞と深く関わっている。
 北欧では、ここ何年か抗炎症フード、つまり抗炎症作用のある食べ物による健康法が大流行だ。ここでスウェーデンの抗炎症フードについて書かれた本を紹介したい。
 一冊目:作家が更年期障害で苦しみ、食事療法に出会って研究する様子を描いた『Hälsorevolusionen(ヘルスレボリューション)』

画像3

二冊目:先駆け的存在の『Food Pharmacy : en berättelse om tarmfloror, snälla bakterier, forskning och antiinflammatorisk mat (フードファーマシー:腸内フローラ、善玉細菌、研究と抗炎症フード)』

画像5

三冊目:健康的な食べ物と幸福感の関係について書かれている『Happy food (ハッピーフード)』

画像3

 この三冊に共通しているのは、腸内フローラと健康の深い関わりについて、取り上げていること。日本でも腸内フローラ、腸能力という言葉が浸透しつつある。では腸内フローラとはなんだろう? 
https://www.biofermin.co.jp/nyusankin/chonaiflora/aboutchoflora/?utm_source=yahoo&utm_medium=LT&utm_campaign=what%2527sflora
 上記のページによると、私たちの腸内には1000種1000兆個以上の細菌が生息している。特に小腸から大腸にかけて多く生息しており、これらの細菌がバランスを取りながら腸内を良い状態に保ってくれている。
顕微鏡で腸の中を覗くと、それらがまるで植物が群生しているお花畑(flora)のように見えることから『腸内フローラ』と呼ばれるようになったという。

画像4

 これらの本によると、腸内細菌は様々な神経系や経路を使って、常に脳と直接連絡を取り合っている。つまり脳の働きの延長上にいる。『腸は第二の脳』という言葉もあるくらいだ。
 近年、食物は心の健康に直接関わることが分かってきた。食物と賢くつきあうことで、よりストレスに耐えやすくなったり、頭が冴えたりする。腸内フローラの状態が良いほど、記憶力や学習を司る脳由来神経栄養因子という物質が増えていく。つまり学習に必要な脳の働きも、腸内フローラと深く関わっているのだ。
 この腸内フローラは、私たちの健康だけでなく、感情をもコントロールしている。すなわち腸内フローラのバランスが取れている方が、私たちは幸せな気持ちを保っていられる。
 腸内細菌のうち、もっとも一般的な2種類はプレボテラとバクテロイデスという名だ。プレボテラはふつう、多くの野菜や繊維質の食物を摂取している人の体内にいる。一方ジャンクフードに依存しているとバクテロイデスが繁殖し、肥満につながる。とはいえ重要なのは、個別の細菌ではなく腸内全体で細菌がチームとしてバランスを保っていることだ。腸内のサブチームにバクテロイデスがある程度いることは、良い効果があるという。

 私たちが日々取り入れられることとしては、例えば果糖をできるかぎり摂取しないこと、豆類を摂るようにすること、青野菜、ナッツ類、コケモモやブルーベリー、ブラックベリーといったベリー類を日常的に摂るようにすること、などなど。ナツメヤシは抗炎症作用が大変高いという。また食事の他に、タバコを吸わないこと、運動をすること、ストレスを避けること、食事の時間や就寝の時間など日常のリズムを守ること、外出をして人と会ったり、庭仕事をしたり、もし好きなら犬を飼うこともお薦めだ。

画像5

 私がこういったテーマに興味を持ったのは、2019年の秋にスウェーデンのヨーテボリ市で、あるAirbnbに泊まったことがきっかけだった。このAirbnbのご主人は60代の女性だ。彼女のキッチンに並んでいたのが、抗炎症フードの本だった。
 彼女はお父さんの仕事の都合で南米で育ち、スペイン語、スウェーデン語、英語を完璧に話す。若い頃は同時通訳の仕事をしていたという。
ところが結婚をしてから、夫にひどいDVを受けた。言葉と身体的な暴力。彼女の自尊心はぼろぼろになった。数年で離婚をしたが、その後はひどいうつ症状に悩まされた。夜はなかなか眠れず、ジャンクフードばかり食べていたそうだ。
 そんな時に出会ったのが、抗炎症フードだったという。オーガニック野菜中心の食生活に切り替え、外食やジャンクフードをやめた。家で紅茶キノコを作り、発酵食品を多く摂るようになった。そんな食生活を続けているうちに、少しづつ精神も安定し、夜もぐっすり眠れるようになった。今はなんの不安もないと話してくれた。

 上で紹介したどの本も、スーパーフードとしてレッドビーツを紹介していた。レッドビーツジュースは何日間か飲んだだけで、動脈を用いた年齢測定の結果が大きく変化し、人によっては20歳以上も血管年齢が若返るという。この夏は身体の節々が痛む私と夫用に神奈川県産のレッドビーツを取り寄せ、ベリー類と一緒にフレッシュジュースを作って毎日飲んでみようか。

画像6

(文責:中村冬美

*このブログは、にほんブログ村の
海外文学」と「翻訳(英語以外)」に参加しています。*




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?