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"多様性"への転換期

ダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I)が浸透する中で、“多用的な思考でなければいけない”という画一的な考え方が目立つようになったと違和感を感じています。
私見ですが、D&Iが実現された社会では、個人ごとに異なる価値観はありつつも、それを他人に押し付けることはなく、侵害もされない”尊重”が存在していると予想します。
過渡期にある現状について分析したいと思います。

マイノリティのエンパワーメント

これまでの社会は最大公約数的な考え方が横行し、マイノリティの意見や立場に対する配慮が足りませんでした。この”マイノリティ”というのが曖昧で、とある集団において少数派であり、居心地が悪いと感じている人々が該当するかもしれません。
ちなみに、女性自体がマイノリティという訳ではなく、男性社会における女性がマイノリティに該当します。なお、女性の多い会社における男性もマイノリティに該当するはずなのですが話題になっていません。

インターネット、SNSの普及により、マイノリティ同士の”つながり”が生まれ、発言力を得ることができました。その結果、これまで届かなかった”声”が、マジョリティ層に届くようになりました。

固定観念の破壊

人間は本能的に、過去の経験や知識、自身の価値観から相手がどのような人なのかを分析し、カテゴライズします。この本能的なカテゴライズという行為は止めることはできないため、”こういう人は・・・だ”という定義を次世代に残さないというムーブメントが起きているのです。故に、影響力のある人間の発言に対してセンシティブになるのです。
この本能的なカテゴライズの仕組みの補足として、以下にステレオタイプとバイアスについて記載しておきます。

ステレオタイプ
ステレオタイプはご存知の方も多いと思いますが、性別、外見、出身地、(海外であると)人種、宗教などから、その属性を有する集団や人を”こういう人”と決めつけることです。例えば、女性は・・・である、関西人は・・・である、日本人は・・・である、という感じです。

バイアス
バイアスは、ステレオタイプと混同するかもしれませんが、あくまでステレオタイプによる先入観のことを指しています。つまり、この先入観によって、相手のことを正しく理解できないことを、バイアスが掛かって理解できないという言い方になります。

ハラスメントの抑制

D&Iとハラスメントについても説明したいと思います。パワハラ、セクハラ、モラハラ、アルハラ、キメハラなど、多くのハラスメントが存在します。これらハラスメントに該当する行為の定義は曖昧で、相手が不快に思えばハラスメントに該当するということはご存知の通りです。
これらハラスメントは、個人的に以下に分類できるのではないかと考えています。

マイノリティに対するハラスメント
マイノリティに対するものであり、ハラスメントを受けた際に、反論できない、声が届かない、意見を聞いてくれない、共感してもらえない、という状況に陥るものが該当します。例えば、”女性は・・・”というようなセクハラが一部該当します。

価値観の押し付けによるハラスメント
マジョリティ対マイノリティというより、個人間での価値観のズレから生じるハラスメントが該当します。例えば、身体的特徴に対する”いじり”や、飲めない人に対してお酒を強要するアルハラが該当します。

D&Iが対象としているのは、マイノリティに対するハラスメントであり、価値観の押し付けによるハラスメントは、ハラスメントと関係なく、倫理的な観点から止めるべき行為となります。
なお、セクハラに該当する行為は様々あり、上記の2つの双方に関連するものが含まれますが、いずれにしてもハラスメントの抑制は喜ばしいことと考えます。

(まとめ)D&Iの実現に向けて

D&Iが実現すれば、相手の価値観を受け入れることになるため、”女性は・・・だ”、”男性は・・・すべき”、”若い人は・・・な方が良い”などの持論を展開したとしても、何の反発もなく、「あなたはそうなんですね。私は・・・と思います」という会話が展開されるのだと感じます。

しかし、多くの人は、過去の固定観念は間違っているという画一的な考え方の下、D&Iを進めています。例えば、”女性は今のままではダメで、・・・すべき!”という今までとは真逆の行為を強制するようなコンセプトが根底にあるように危惧しています。

その結果、固定観念を破壊してゼロベースにすべきところ、真逆に進んでしまったり、男か女かで考えてしまったり、若いか年配かで考えてしまったり、、、
いずれにしても、私達の世代は、「そういう考え方があるよね」とだけ伝え、自分の考えを述べないように努めるのが正しいのかもしれません。

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