35歳のおじさんがプロダンサーになるまで⑥〜高校生編Ⅱ〜
18歳。
部活を引退し、就職先が決まり、何もする事がなくなった高校3年の3学期。
部活しかやってこなかった私は、ようやく始まった普通の高校生活にワクワクし、それと同時に、いまさら何をすれば良いのか戸惑っていた。
頭の中にはもちろんあった。
「ダンスがしたい。ロックダンスを習ってみたい」
そんな矢先、同じクラスの同級生2人から、
「今度、ダンスレッスンの見学に行くけど、一緒に行かない?」
と誘われた。
当時は、ストリートダンスのスタジオなんて、もちろんない。
しかし「レッスンはやってる」という情報はその時初めて聞いた。
私は二つ返事でお願いした。
(30歳を越えて、まったく同じ時期に下関でロックダンスをする同世代の人達がいた、ということを知る。もしその時出会っていたら、違う人生を送っていたかもしれない。)
レッスン当日。
幡生駅で待ち合わせ、私は友人と一緒にダンスレッスンをしている場所へ向かった。そこは公民館のようなところだった。
後に知ることになるけど、レッスンは月1回の開催で、この日は偶然レッスンがある日だったらしい。
(毎週やっていると勘違いしていた。)
レッスンが行われている鏡貼りの部屋に入り、急いで部屋の隅っこに移動して、3人で体育座りをした。
部屋にはまだ先生らしき人しかおらず、その先生は踊りながら電話をしていた。
その人こそ、広島のPEETさんである。
その時レッスンを受講していたのは、後に山口県でスタジオオーナーやインストラクターになる人達で、レッスン内容はたしか、当時新しいステップの『ハーレムシェイク』だった。
生まれて初めて見るダンスレッスン。
生まれて初めて見るストリートダンスを踊る人達。
ダンスが突然、目の前にやってきた。
【未来の自分から一言】
キミは家に帰ってもしばらく、ダンスレッスンのことが頭から離れず興奮してたね。
窓ガラスに反射する自分を見ながら、見よう見まねで『ハーレムシェイク』をするけど、全然できなくて。
でも、楽しかったね。
まだまだこれは、物語が始まる前の物語。
キミがダンスを選ぶのは、もう少し先のお話。
☞《高校生編Ⅲ》へ続く…
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