広報でやっていることを、価値があると思ってもらえない【広報お悩みに勝手に答える】

ものすごく反応をもらえているわけではないけど、多少需要がありそうな肌感覚を持っている、この「広報お悩みに勝手に答える」。
ネタが出続けるのか、今後毎月書き続けられるのか若干怪しくもあるが、今回は「広報のことを価値があると思ってもらえない」時に考えてみたいことを。

※私の経歴

・IT企業2社経験(前職800人→現職40人)
・事業会社広報歴約9年。社内広報、社内調整のスキルが強い
・社外広報は、BtoBビジネスでの、自社発信手段を活用した企業広報の経験が多い
・前職でWEB担当3年、管理会計担当半年の経験あり
・前職は上場企業(上場期間では2年半在籍)
・ここ2年は経営企画業務、人事育成業務が増えている

価値があると感じる根っこは「役に立つ」こと

広報業務を頑張っているけど思ったほど手応えがないとか、価値があるとまでは思われていないっぽいとか…残念ながらこれらはよくあるような気がしている。多かれ少なかれ、本当に悩んでいる人が多いのではないかな…と思うところ。

大原則として、「価値」を感じる根っことして、その人にとって「役に立つと感じるか否か」がある。役立つ感覚がないのに、「それは価値が高い!」ということは言えないだろう。

つまり、残念ながらその人にとって、広報業務でのアウトプットは役に立つと「今は」感じられていない、ということだと考えられる。
この台詞だけで私も心が折れそうだが、なんとか気を取り直して、もう少し分解して考えてみる。


1:発信によって起こることが、イメージできていないケース

ブログを書いている、SNSをまめに更新している、それらにより新しい縁や評価などを得たことがある人は「発信により起こることはイメージできる」だろうが、世の中そういう人ばかりではない。発信による成功体験がなければ、抵抗感なども手伝って、発信は後回しにしがちだろう。

さらには、発信がもたらすメカニズムにリアリティがないので、たった1回の発信効果が出るとも勘違いするケースも考えられる。発信は蓄積してこそ多面的に伝えられ、理解が深まり、期待が高まるものである。外に発信してないものは「ない」ものと一緒で、何とも思われない。どういうロジックだと「良い」と思われるかは人それぞれ、だからこそ情報は大量に出して多面的に見せることが効果的に働く。
多く発信してなお「一貫」でいることは難しいので、発信が一貫していればなおさら効果は高まる。

この場合は、広報一人でできる範囲で発信による事例を作れると良い。例えば、会社で使っている無料ツールで記事発信する、個人や会社のSNSなどを使って会社に縁を持ってくるなど。やり続けることで「発信すると良い事例」が見せられるので、それを見てもらうことで態度が変わってくると考えられる。
もしくは、SNS発信で実績を上げてきた社内の人に味方になってもらうなどもありえる。

2:発信以前に、何か困っているケース

「いまは事業に集中したい、だから広報どころではない」と考えている人がいる。要は、広報を事業本体とは別途の「社外に知らせる」だけの要素が強いと考えているために起こる。

事業に真っ当に取り組んでいる場合、事業の整理や言語化が必要となるが、広報をするにも同じ要素が必要となってくる(アウトプットが変わるだけ)。でも広報ではない方は、これがイメージできない場合がある。広報と事業は一体で進むものであると、広報をちゃんとやっている人こそ理解していることだが、ここを分けて考え、しかも後回しにしてしまうのだ。

先述の通り、事業の整理や言語化を申し出てみるとよいかもしれない。結果的にこれは、広報活動の一端となる。
それを通じて事業課題も見つけやすくなるため、結果的に事業改善活動に貢献することができる。少なくとも、今まで見えにくかった事業のことも社内に伝えて協力を求めるという可能性も。


3:そもそも、言語化して伝えられていない・言語化の大切さに気づいていないケース

結構このケースもあると思っている。言い換えれば、「自分は言語化ができている」と思っているケースとも言える。

当人はちゃんと伝えられていると自負しているが、もともと付き合いが長いなどでコミュニケーション量が多くなくても成立していたり、そしてその人たちが割とそれ以外の人に対してもフォローしてくれていたりケース。
でも、これらは「それまでの膨大なコミュニケーション量に支えられている」までなので、ひとたび新しい人、新しい内容などが含まれるととたんにうまくいかなくなる。人により、「あの人は理解しない」などと相手のせいにするケースもみられる。

とはいえこれは、今までのケースで1番、対処が楽かもしれない。社内で伝達がうまくいっていない事例を見つけ、困っている人がいたら、その人への伝えるための言語化や通訳を申し出るのだ。
社内コミュニケーションは様々要素があるが、なぜか止まっていて、しかも偉い人相手などの理由でうまく聞き返せていないことはよくある。それで困っている人がいたら、広報の言語力・言語化力で言葉にして伝え切ってみる。
うまく伝わってないからできないだけで、別に悪気があって止めているわけではない。やることの背景や中身に納得がいくだけで、社内の動きが変わり、結果的に事業に良い影響が出てくる可能性も大いにある。


中小企業の広報で、社長が上司。さらに評価をもらえていない場合は?

考えられるいろいろなケースを紹介してきたが、中小企業の広報で、かつ社長(上長)の評価が薄い場合、広報という範囲に固執しないで「社長の役に立っているか」立ち返ってみてほしいなと思う。

広報の文脈で語られていることは広報視点での見え方・常識であって、それを社長などに押し付けるべきものではないと考えている。
広報の目的は経営の何かであるはずなので、本来ならば広報側があわせるものだ。

経営者は高確率で、お金の部分が悩みどころなので、担当者が行う広報施策を「お金を稼ぐこと」もしくは「お金を調達すること」にいかに近づけるかを考えて会話をしてみてほしい。その話をするだけで少しすり合わせが進むはず。

先述の通り、事業の中身整理や社長からの伝達において広報のスキルが活用できることも多くある。それらを申し出つつ、「広報の効果は社外に知らせるだけではない」と伝えてみてほしい。

それでもうまくいかない場合、広報という仕事内容だけにこだわらず、信頼関係を築いてから広報をやる、という手もある。
個人的な経験では、人事範囲に手を出し、誰か社員の教育で「成果を出したな」と感じてもらうのはおすすめだ。広報とも専門性が重複し、かつ結構ちょっとしたこと(ケース3の、言語化して教えるなどくらいのレベルでも)で成長して「事業に貢献」できる可能性がある。

それでも納得いかず転職を選択する場合は、すでに広報体制が整っているところでやる方がうまくいくケースもありそう。立ち上げはどうしても、「その会社で広報活動を理解してもらう」活動は避けられないので、自分がやりたい広報活動を今一度振り返ってその業務に集中する選択肢を探せるとよさそうだ。
広報業務はやることの範囲が広いので、「社内外の複数人で広報をやっており、分業や切り出しがなされていて期待値が明確である」可能性が高いところ、すなわち大手企業への入社や業務委託などの選択肢がありそうに思える。ただし、業務を絞ることは場合によりキャリア形成が小さくなる可能性があり得るので、よく検討されたい。

社長が持つ思いや、広報との関係性については、以下の記事も参考にしてほしい。


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