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カロク採訪記

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東京の災禍の歴史をたどり、それに向き合う人びとと出会い、記憶の地層を掘り起こす。2022年からはじまった事業「カロクリサイクル」に関わるレポートです。 https://www.…
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交差する抑圧と抵抗の歴史[国立ハンセン病資料館]

2024年4月21日 カロク採訪記 櫻井莉菜 はじめに 東京都東村山市の多磨全生園に位置する国立ハンセン病資料館に、NOOKの磯崎さん、瀬尾さん、中村さんと訪れました。 この日の天気は晴れのちくもり。現地集合だったので、私は清瀬駅からタクシーで向かうことに(遅刻ギリギリだった汗)(中森明菜を生んだ清瀬の風を感じることもなく、、、)。 私自身、ハンセン病資料館に訪れるのは初めてで、中高生の時に、教科書で最低限の知識を習ったかな、、、?というくらい、恥ずかしいほどにハンセン病の

神奈川の関東大震災[神奈川県立歴史博物館]

2023年9月18日 カロク採訪記  櫻井絵里 にぎやかだった9月1日 普段、災禍の歴史を意識していない人でも、9月1日が何の日か知っている人は多いと思う。学校や会社などで防災訓練が行われる「防災の日」だ。この日は関東大震災が発生した日で、震災の他に台風シーズンを迎える時期でもあることから制定された。今年の9月1日はいつもより特別だった。関東大震災が発生してから100年の節目だったからだ。内閣府や地方公共団体、NPOなどが震災に関するイベントを開催したり、美術館や博物館で

資料の息づかいに触れる [横浜開港資料館]

2023年9月18日 カロク採訪記 阿部修一郎 横浜開港資料館へ 2023年9月18日、横浜でのカロク採訪記に参加しました。 今回私たちが向かったのは、横浜開港資料館で開催の特別展「関東大震災100年 大災害を生き抜いてー横浜市民の被災体験ー」。 私は、今回が初めてのカロク採訪記参加です。NOOK主催のワークショップ「記録から表現をつくる2023」(2023年7-9月開催)に参加した縁で、記録をめぐるフィールドワークに関心を抱き、今回参加することにしました。 神奈川県立

100年後の祈りと怒号 [東京都慰霊堂・復興記念館]

2023年9月1日 カロク採訪記 柴田成(研究者/ライター) 初めての秋季慰霊大法要 2023年9月1日。関東大震災の発災からちょうど100年後となるこの日、私は墨田区両国にいた。神奈川県出身の私にとって、両国といえば国技館か江戸東京博物館。しかしこの日の目的地はそのどちらでもなく、JR両国駅から歩いて10分の場所にある横網町公園であった。都市の記録やそこで暮らす人の記憶に興味があった私は、今年の夏からNOOK のアートプロジェクトにいくつか参加させていただいている。 公

力を持たない人びとの戦争と災禍

カロク採訪記 2022年7月23日 磯崎未菜 ”Obviously all the refugees are women and children."2022年1月24日に、「ウクライナ情勢が緊迫するなか、米国防総省が、戦闘準備が完了している8500人規模の米軍部隊をいつでも派遣できる態勢を整えていると明らかにした」というニュースをBBCで観た。その時はじめて、いよいよ本当に戦争がはじまってしまうような事態なのかと思い知って背筋が凍った。夜、友達と電話で話したのを覚えている

マーシャル諸島と東北①

2022年7月20日 カロク採訪記 瀬尾夏美 夢の島公園という場所 新木場駅で礒崎さんと合流して、じりじりと暑い平らな地面を歩く。 味気のない明治通り沿いをひたすら進んでいると全身から汗が吹き出てくる。 こんなに暑くて大丈夫なの? ヨーロッパでは気温が40度を越え、あちこちで森林火災が起きている一方で、SNSには、洪水によってまちが壊れていく映像が各国から投稿されている。 暑すぎて何にも考えらんないよねえという会話にならないやりとり。 暑い日には暑いという言葉しか出てこな

末端の人の気持ちを想像する

2022年7月18日 カロク採訪記 中村大地 ほんとは行くつもりだったうだるような日差しの中で、早稲田にあるアクティブ・ミュージアム~女たちの戦争と平和資料館を目指していた。この一週間で5月のときのように東京都内の様々な資料館を巡る予定でいた。18日(月)は海の日だったので、翌火曜日に多くの資料館が休みになる(たいがい、多くの資料館は月曜日が休館だ)。だから事前に確認して、月曜日営業のアクティブ・ミュージアムで待ち合わせることにした。 一足先にAVACOキリスト教会館につい

ふたつの災禍の痕跡を辿る

2022年5月14日 カロク採訪記 瀬尾夏美 下町地域のまち歩き、ふたつの災禍をめぐる 東京空襲と関東大震災の記憶を辿るまち歩き(公益財団法人東京慰霊協会主催)に参加。あいにくの雨。 関東大震災:1923(大正12)年9月1日、推定10万5千人が死亡 東京空襲:東京都は1944年(昭和19年)11月24日から1945年(昭和20年)8月15日までに、106回の空襲を受け、推定11万5千人以上が死亡。とくに3月10日の下町地域への空襲では、推定10万人以上が死亡。   集

東京を歩き始める

2022年5月9日  カロク採訪記 瀬尾夏美 東北からふるさとに戻る ついに東京を歩き始める。ついに、とあえて言う。 22歳からの11年間は東北にいて、この春、ふるさとである東京に戻ってきた。東北では、津波の後の沿岸部や台風被害に遭ったまちに通い、土地に根付いて生きる人びとの話を聞き、記録してきた。 もちろん、災禍の記憶だけではない。日々の暮らしについて、生業(田畑や山仕事の話などが印象深い)について、風景について、土着的な信仰や民話について、受け継がれてきた郷土の資料に