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教室の中で、個性への対応が進む世の中を願う

当時、小学校4年生になる男の子は、

その年の4月から週1回、通級教室に通うことになりました。

3年生として過ごした1年間。辛い経験を重ねた1年でした。

集団生活の中で、周りと同じように出来ない時、先生に注意を受ける事が続きます。

先生が注意しつづけるごとに、周りのクラスメートから雑な扱いをうけていくようになりました。

先生が男の子に対応する姿勢は、クラスメイトにジリジリと影響を与えていました。

先生が、出来ない事をイライラしたり、馬鹿にしたように注意しつづければ、子どもたちにとっても馬鹿にしていい存在としてうつり、その関わり方が伝染してゆく。

先生に認められたい子どもたちですから、先生とはとても影響力のある存在と言えます。

出来ない事を、クラスの仲間がフォローする、そんな形にできた可能性もあるはずなのですが、

先生は、最後には男の子をたたくようになりました。

どんな背景がそうさせたのか、沸き起こったどんな感情がそうさせたのか、

お母さんは、心の傷を背に乗せて、なぜ叩いたのかを尋ねました。

何度言っても出来ないから

と答えられたそうです。

校長先生も入り、いろんな話し合いを経て、4年生からは、通級教室にも通う選択をします。

通級教室のその場所は、今まで感じることが難しかった安心で嬉しい気持ちを感じれる場所。自分をありのまま受け入れてくれて、持ち味にフォーカスしてくれる素敵な場所になるはずです。

ですが、それは、まだそこに通う前の男の子にはわかりません。

お母さんが、来年から週1回、通級教室にいくよ、と男の子に伝えたとき、その子はこう言ったそうです。

僕がダメな子だからなんだよね、と。

お母さんからは涙が溢れます。

なぜ、自分をダメな子と思わなくてはならなかったのでしょう。

3年生になって抱えてしまった心の傷と、自己肯定感をつめなかった環境の影響力はとても大きい。

素敵な先生もたくさんいて、特性や個性に対する教育を学ぶ機会も増えているけれど、

従来の集団教育の手法の中にいて、特性や個性に対して、たとえば、刺激を与えず上手に対応する事がベストな時であっても、それを上手く出来る先生がいないという現場は、まだあります。先生自身が、相談できる場所がない職場もあるかもしれません。

少なくとも、何かにつなぐ、相談をする、話し合う、できた選択肢を選択されないままに、叩かれていく事になった事は、とても残念な事です。

ダメな子と本人が言葉にしたとき、お母さんの心はどれだけ痛く悲しかったことでしょう。

とても心が痛いエピソードです。


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