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安心と安全がもたらすもの

 大学のときにならった、イスラム教誕生の背景は次のようなものでした。
 西のビザンツ帝国と東のササン朝ペルシアが争っていた6世紀、その対立する境界線上を通っていたシルクロードは安全でないため、商人が通ることはできず、使えなくなりました。

 結果、陸路ではなく海路が注目され、アラビア半島を通ってヨーロッパへと向かうルートが活況を呈してきます。その中にあった都市がメッカでした。そうして、このメッカに富が流入して来るようになります。アラビア半島は乾燥地域なので、農耕には向かず、もともとは遊牧民が生活する地域です。厳しい自然環境の中で遊牧民たちは、相互扶助の精神を美徳として生活していました。メッカの経済的な繁栄とは裏腹に、富が流入してきたメッカは精神的には荒廃していきます。
 そのような中で商人として生活していたのがムハンマドで、古き良き時代と今とのギャップに悩み、洞窟で瞑想をしていたそうです。その時に神からの啓示を受け、預言者として、ムハンマドはイスラム教を開いていきます。
 
 今回のこのnoteのポイントは、イスラム教の誕生ではありません。イスラム教が誕生した背景には、安心、安全ではなかったシルクロードがあったということです。
 コロナ禍で、どこに行っても、先が見えない状況です。安心と安全を心から感じられるようになるのはいつになるでしょうか。人間は、未知の領域を開拓していくことで、現在の地位にたどり着いたのだから、そもそも安心とか安全じゃない中で、何とか工夫してきた生き物なんだと、言うこともできそうですが、そうはいっても、ある程度先が見える、安心で安全な中でないと、じっくり思索にふけったり、研究したりということはできなそうです。
 特に子供は、親とか学校とか、安心で安全な場所で、いろんなことを試して、失敗しても、傷つけられたり、命に関わるようなことはないんだということを、じっくり味わって、それを心と身体に染み込ませる時間が必要です。そうやって育った子供は、きっと自分の力を存分に発揮できるのではないかと思います。
 「楽しむ」ための前提として、安心で安全であることが必要です。
 

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