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Immersive Museumで自分の好きに向き合った日

日本橋でやっているイマーシブミュージアムに仲良しの友達3人と訪問した。

絵の中に生きる人や自然、光がいまそこに
息をするように描かれていて、みていると私の中の別世界がどんどん広がっていく感覚になる印象派の絵。

そんな絵たちに全身で包まれるとは?とワクワク足を運んだ。

けれども期待しすぎていたのか。
その空間から全くパワーが感じられず
作品が商業的に扱われていて
なんだかとっても寂しい気分になってしまった。

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作家がまるで存在しないかのような編集

絵に全然詳しくないのだけれども、それでも誰かの「美しい基準」で、編集されたこの展示の恣意的な感情が伝わってしまって、なんだかため息が止まらなかった。

変なたとえでいうとInstagramのおすすめ欄で出てくる投稿みたい。
「面白いでしょ?」
「気に入るでしょ?」

と同調圧力がある映像がひっきりなしに流れる。プロモーションツールとして、絵たちを出現させる感じ。作者や絵のタイトルでさえ不明な情報量の少なさに対して、なんとも雑音が多い。

編集者の顔が見えそうなくらいだ。

もちろん作家の声は到底聞こえなかった。

一方で、純粋にこの空間を楽しんでいる人たちの笑顔を見て、やっぱり芸術は、趣味の世界で十人十色なんだよな!と納得もした。 (ゴッホが全然認められなかった時代もあったように)。

情報にあふれているにもかかわらず、カスタマイズされたおすすめ欄に囲まれらぬくぬくと自分の好きを選べて、それしか見なくていい時代だから、久しぶりに自分の好きじゃない、に直面してすごくすごくいい機会だった

自分の価値観が浮き彫りになった。

また一緒に行った友達も同じ感情を持っていて
それもまたとても面白く感じた。あーだこーだ言い合う時間が楽しかった。

キャンバスに描かれた絵は、ロマンに溢れている

従来型の展示会で目にする、資材に絵の具でかかれた絵は、単一的な形であり、それ自体なんの意味も持たず、動きもしない。

それでも美しく生き生きした本物の作品からは当時の生活、その場の気温、人々が愛していたもの、感情、風景以外の空気が香る。

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そのシンプルな形がもたらす静けさに対峙して想像を膨らませる時間がとても好き。

むしろキャンバスに向かい合った方がイマーシブできるのではないかとさえ思った。

モネの睡蓮。
花、草木、水の流れ、自然のすべてを愛おしむやさしいタッチ。

ドガの描くバレリーナの本番前の緊張感と高揚感。
生き生きとしていて、でもどこか孤独な踊り子たちの背中。

ルノワールの描く女性。
ふっくらとつややかで幸せに包まれた表情。

その時代を生きる、人々のありのままが存在する、静かだけど騒がしい作品たち。

やっぱり絵にはキャンバスの中で生きて

私たちにロマンを与え続けてほしい。

受け取り方の正解は?イマーシブミュージアム

あとは流れている音楽も好きではなかった。

ドラマの挿入歌のような、焦燥感のあるビートが特徴的な音楽。

絵を見ると曲が頭で流れる人、
多いのではと思う。

私もしかりで、もちろん事実や歴史に基づく音楽ではなく、

絵の印象や国、雰囲気、色合い

視覚的に結びついた音楽なのだけど

教会の絵はバッハが静粛にながれ

宮殿の絵ではシュトラウスが楽しそうに流れる。

モネのジヴェルニーの睡蓮は
私は絶対にショパンのノクターン No8

バラードNo4みたいな美しい音楽がいいな。

とか。


睡蓮のぼやけた輪郭が

夢心地みたいな音楽にぴったり合う。

光の照り方で刻々と表情が変わっていく景色に

モネが虜になったように、

儚くて脆くて美しい音楽が

睡蓮には合う。


やっぱり印象派にビートはいらないと思うんだよなあ。

その時代にビートはあったのかなあ。と。


今回の展示は

音楽や映像が確立されていて受け取り方に正解があったから、

見方や空間の楽しみ方を周りと同一化させられてる気がして

反抗心ができちゃったのかもしれないな。

想像力を掻き立てるものがなく

だから私の、単純に、ぬふふ、絵を見て

色々想像したいぜという欲と

合わなかったんだろうな。

芸術て難しい。

心の準備

これはきっとアトラクションとして

参加すべきものだったんだ、と今は附に落ちている。

また、私も私で

「これが美しい」という

頑なな基準があり、それが

意外にもゆるぎなくて少しへこんだ。

今の若者は、とか言ってしまう

おばあちゃんになった気分だ。


好きを追求していくことの楽しさと 

周りを受容できなくなる怖さと

でもやっぱり美しいものを美しいと言い、

美しくないと思うものを

違うと言うことが楽しくて気持ちよくて

怖くて、でも大切で。


芸術は難しいバランスの上で

成り立っているのだと、実感した。

成り立ってはいないのかも、常にゆらゆらと

揺れている。



どう考えても、イマーシブミュージアム¥2500はやっぱり高い。映画よりも高い。美味しいランチ食べれちゃう。けど価値観が揺さぶられ、日本橋の路地は美しくとても良い週末だった。久々に感じたことを残しておこう、と思わせてくれた。

感情はすぐどこかへいってしまうから

絵でも音楽でも言葉でも残しておかないと

といつも思ってはいるのだけど。



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