まだ恋人を作る覚悟ができていない

タイムリミットはあと1週間。ドクドクと心臓は鳴り、手は汗ばみ、肺に入る息はいつもより少なく感じる。苦しくて、はやくこの瞬間から逃げてしまいたい。と考える。しかし、どう頑張っても1分は60秒だし60秒は1秒が60回積みあがった時間なのだ。私にはどうすることもできない。

あと1週間。1週間後、彼と会ってしまうと私はきっと告白されてしまう。

私はまだ恋人を作る覚悟ができていない。

YesかNoか。私たち大多数の日本という国に居住している人間は恋人を作る時にこの人は自分にとって恋人となるに相応しい人間であるか選択しなくてはならない。これがカフェのメニューであったならば、5分で決めてしまえるのに。しかし、残念。恋人を決めるのに選択するのは生クリームとフルーツがたっぷりなパフェやしゅわしゅわと音を立てるバニラアイスが乗ったクリームソーダがいくつも載っているようなメニューからではない。1人の人間と向き合わねばならないのだ。私は人となってしまうと5分で決めることが出来なくなる。何故ならば、人の取捨選択が好きではないからだ。

人には様々な側面がある。それは私にとって良いところであったり、悪いところである可能性もある。その側面達は集合する事でその人自身にとっての個性となる。私は人間が好きだ。だから、沢山の個体の個性をみたいと思い行動して生きている。しかし、恋人を持つとなるとそれは難しくなってしまう。恋人を持ち大切にすることによって、自動的に他の人々と出会い知り合う機会を捨てなくてはいけなくなってしまう。

例えば、この日本であると恋人がいる女性が男性と2人きりで密室にいる、ましてや泊まり合うことは良いこととはされていない。寝食を共にする事でその人の事を新たに見えて来る事は多々ある。それは純粋に楽しくとても興奮するし、興味がある。しかし、恋人を持つとこういったことを許されない場合が多い。もしも、恋人が許したとしても世間一般が、普通が許さないのだ。

私はまだこの知る機会を失うことが惜しくて恋愛をする覚悟ができていない。

近々審判を私が下す日はやってくるだろう。それまでに覚悟が出来ている自信はまだない。