もう海に沈めなくてもいいように
「コンクリートに括りつけて、海に沈めてしまいましょう」
同僚が言い放ったその物騒な言葉を、お守りのように胸に抱いていた時期がある。
その同僚と出会った職場は、博物館だった。
私は、大学を卒業してから、正職員の学芸員になったが、1年半ほど働いたのちに退職した。そのときの私は抑鬱状態だった。
半年ほど何もしない日々を送った末、私は、博物館の非常勤職員と大学の非常勤研究員として働くことになった。
博物館では、学芸員としてではなく、来客対応をする解説員として採用された。チケッ