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晴れの日も雨の日も

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そのとき感じたことを感じたままに綴るエッセイ集。晴れの日のように澄みきった気分のときも、雨の日のように翳りに覆われるときも、その気持ちを、透明な言葉で伝えたい。
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#暮らし

ハレの日の美術館

よく晴れた5月のある日、私たちは美術館で結婚式を挙げた。 結婚式といっても、参加者は私と…

如月桃子
1年前
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11月の日記

11月の日記です。ごはんと本のお話が多めです。 長文なので、気になるところだけ、つまんでく…

如月桃子
6か月前
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夫は今日もかわいい

先週は、寒くてなかなか起きられなかった。 「寒いね」 「おふとんから出たくないね」 「目が…

如月桃子
1年前
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ふつうがいちばん…

小学生の頃、長期休暇の前にはかならず成績表が配られた。 家に帰ると、私はまずそれを母に見…

如月桃子
1年前
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サンタになった日

季節外れにもほどがある。 ということは、私も重々承知しているのだが、今日はクリスマスの思…

如月桃子
2年前
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休みが終わってしまうとしても

長かった夫の休みが終わってしまう。 「終わってしまう」と少し感傷的に書いてみたけれど、実…

如月桃子
2年前
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いつだって、甘やかしごはんだった

対面キッチンのある食卓は、実家の東側の一番大きな部屋にある。 食卓に朝日が差し込む前に、支度をはじめるのは、父だった。 私が起きる頃には、すっかり朝の支度は整っている。私は寝ぼけたまま、食卓につき、目の覚めるようなおいしさの朝ごはんを口にして、私の一日が始まるのだ。 父が平日の朝につくるものは、ほとんど決まっていた。 具だくさんのおみそしると魚の塩焼き。鮭とカツオの塩焼きの出番が多かったが、カレイやサバ、ホッケ、サンマ、メバル、メヒカリなどいろんな魚が食卓に並んだ。 ねぎ

雨上がりの夜に教えてもらった、優雅な朝

挽き立ての豆で淹れたコーヒーと、焼き立てのパン、じっくり煮込んだスープに、サニーサイドア…

如月桃子
2年前
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歯の浮くようなセリフを噛みしめて

ある映画で、イタリア人の男が言う。 ”I thank God for fear…”と。 直訳すれば、「恐怖をあ…

如月桃子
2年前
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放課後のような街に暮らしたい

放課後の空気が好きだった。 校庭や体育館で汗を流す人。 吹奏楽部の誰かが奏でるトロンボー…

如月桃子
2年前
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壊れかけのマグカップの行く末

お気に入りのマグカップにヒビが入ってしまった。 ホットミルクを作ろうとして、マグカップを…

如月桃子
2年前
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先輩の芥川賞受賞に寄せて

夕飯を食べながら、何気なくテレビを見ていたら、芥川賞のニュースがやっていた。 今年は直木…

如月桃子
3年前
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母、絵日記はじめました

母が、フジコ・ヘミングに感銘を受け、あることを始めた。 ピアノを弾き始めたのではない。 …

如月桃子
3年前
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甘い休日

最近の私は、ちょっとキャパオーバー気味だった。 新しい仕事も始まり、結婚した先月。 大学院に通いながら働いている私は、修論を書かなければならないのだが、仕事から帰ってくるとぐったりとして、ダラダラすることしかできなかった。 それは、大きな変化に体がついていけないからで、仕事に慣れてもっと頑張ればどうにかなると思っていた。 でも、仕事に慣れるにつれて、任される仕事も多くなり、ますます疲れて何もできない日々がつづいた。 結婚したといっても、職場が実家の近くにあり、夫の家