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晴れの日も雨の日も

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そのとき感じたことを感じたままに綴るエッセイ集。晴れの日のように澄みきった気分のときも、雨の日のように翳りに覆われるときも、その気持ちを、透明な言葉で伝えたい。
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#家族の物語

ハレの日の美術館

よく晴れた5月のある日、私たちは美術館で結婚式を挙げた。 結婚式といっても、参加者は私と…

如月桃子
1年前
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大叔母の品格

実家に帰省していた夜、「明日、初江おばさん(仮名)の家に一緒に行かないか」と父から誘われた…

如月桃子
5か月前
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夫は今日もかわいい

先週は、寒くてなかなか起きられなかった。 「寒いね」 「おふとんから出たくないね」 「目が…

如月桃子
1年前
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いつだって、待っていてくれる人

6月の終わりに、3ヶ月ぶりに実家に帰った。 実家まで帰る道すがら、なんだかそわそわとして…

如月桃子
1年前
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夫のやさしさの理由

夫はいつもやさしい。 そのやさしさに気づいたときに、泣きたくなるほどに。 ある平日、お茶…

如月桃子
2年前
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サンタになった日

季節外れにもほどがある。 ということは、私も重々承知しているのだが、今日はクリスマスの思…

如月桃子
2年前
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母、絵日記はじめました

母が、フジコ・ヘミングに感銘を受け、あることを始めた。 ピアノを弾き始めたのではない。 母は、絵日記をつけ始めたのである。 母は、ある日、図書館から、フジコ・ヘミングが小学生の頃に描いたという絵日記を借りてきた。 すごく面白いんだよ!と熱く語っていた。 私は、お母さんも絵日記を描いてみたら、と冗談半分で提案してみた。 次の日、母は100円ショップで色鉛筆とクロッキーを買ってきた。 母はとても素直なのである。 正直言って、母の絵日記が、フジコ・ヘミングの幼少期の日

自分が働けなくなって知った、父の想い

父は、仕事が嫌いだ。 私が幼いときから、父は、「嫌な仕事を続けるのは家族がいるからだ」と…

如月桃子
3年前
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世界からなにも消えないとしたら

かたちあるものは、いつかなくなる。 春の夜の夢のごとく。 風の前の塵のように。 それは感…

如月桃子
3年前
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