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みーちゃんは天国に行けたかな

みーちゃんが車に轢かれて死んでしまいました。私が小学二年生の時のことです。

家に来た時から大きな茶トラの猫でした。毎日一緒の布団で眠りました。

私が熱を出して寝かされているときも、廊下をとつとつとつと歩いてきて大きな体をゆすりながら布団にもぐり込んでくれました。

そんなみーちゃんが夏のある朝、道路の真ん中に横たわっているのをお父さんが見つけました。

みーちゃんを段ボールに入れて、新聞紙をかぶせ、私は庭で摘んだ花をその上に乗せました。みーちゃんと一緒に寝ることはないんだなあと思いました。

大きなシャベルでお父さんが庭に穴を掘り、段ボールを置き、土をかけました。私は両手にせっせと土を集めながら、お父さんが「みーちゃんは天国に行くんだよ」と言うのをよく聞いていました。

天国は空の上の上の方にあって、みーちゃんが空に昇っていく姿を思い浮かべました。ふわーっとなんだか軽そうで、私にはみーちゃんが気持ちよさそうに思えました。

みーちゃんがいなくなっても、毎日みーちゃんのことを思いました。天国についたかな、楽しいかな、と。

3か月が過ぎて秋も終わりのころになりました。

もう、みーちゃんは天国についたはずです。天国で日向ぼっこしたり、時々こちらを見下ろして私がどうしているか見ているはずです。私はそれを確かめなければなりません。

だから私は大きなシャベルを持ち出しました。みーちゃんが天国で楽しく暮らしていることを知るためです。

すると大変なことが起こりました。土の中から、茶色と白の毛がぐねぐねうねっているのが出てきたのです。

私は家に駆け戻って叫びました。

「おとーさーん!みーちゃん、まだいるーー!!」

#一駅ぶんのおどろき