【小説】ジュエリー店『エピソード』へようこそ。❺
ショッピングモール内の照明は煌々と灯り、音楽も流れていた。客を迎え入れる準備は整っているようだった。けれど客が一人もいないようだ。おかしい。店員も見当たらない。誰も乗っていないエスカレーターが無言のまま昇り降りしている。このまま足を踏み入れるのは罪悪感があった。あのう、誰かいますか?店内に入ってもいいですか?と聞きたい。話ができる存在を探してあたりを見回す。入り口付近のディスプレイに女性と男性と子供のマネキンが立っている。それとその近くに設置されたアクアリウムの熱帯魚が泳い