最高のコーチに出逢うこと
みなさん、おはようございます。NOZOMIです🍃
今回紹介するのは、エリック・シュミットらが執筆した『1兆ドルコーチ』。1兆ドルという圧倒的な経済価値を示す価格をタイトルに採用しています。人間の価値を数値化することはできませんが、本書の主人公「ビル・キャンベル」がいかに多くの人々の心に宿っているのかがすぐに分かります。通りがかりの人は、この本を手に取らずにはいられないでしょう。(キャッチコピーって大事やなあ…)そんな多くの起業家に愛されたビル・キャンベルの教えを教育という視点から紐解いていきます。完全オリジナルな視点。勝手に考察してみた!という感じです。さあ、いってみよう!
Ep1:駆け引きのない環境で意思決定せよ!
小学校の音楽発表会での合奏。「情熱大陸」オープニングソングテーマ。どんな演出にしようかと児童たちはやる気満々でした。ここで教員の頭を悩ませるのが、誰がどの楽器を演奏するのかという配役決めです。ボンゴ・コンガ・カバサという未知の楽器に人気が集中しました。2つの枠を争って、もともと6名いた人数が議論によって3名になりました。しかし、そこで議論は停滞。誰一人譲れないという境地に入りました。早く決めてほしいと願う教員の私はイライラしてきます。そして、リズム打ち即興オーディションをすることになりました。
1人目のエントリーは、絶対音感と圧倒的なリズム感を兼ね備える小さなピアニストA。2人目のエントリーは、過去にどうしてもやりたかった打楽器を譲った経歴を持つ小さな紳士B。3人目のエントリーは、熱い情熱を持って何事も前向きにチャレンジする小さな太陽C。3人とも良いんです。教員も悩むんです。どうやって納得させようかともがいていた私は決定を下す際、小さな太陽Cに対して「あなたにはリズム感がない」と余計なフィードバックを与えてしまいました。これが私の後悔です。すかさず、小さな紳士Bが「でも1学期よりは上手になってると思う」と。しまった…。この言葉で私のしてしまったことに気付かされました。オーディションに落ちた小さな太陽C。この子の可能性の限界を最高権力を持った私が政治的に決めてしまったことに対する後悔が私を襲いました。なんと暴力的な決定だろうか。
たった一言ですが、されど一言。人はたった一言によって、悩まなくてよい悩みを抱えてしまいます。成長を阻害するような悲しみを抱かせない。そんな意思決定ができる仕組みや環境を作るのが教師の腕の見せ所だと痛感した次第であります。
Ep2.自分の「ものさし」で測れ!
20代後半の女子が一度は抱える悩みに「結婚」があると思います。なぜか無性に焦るんです。焦りによる短絡的な決断に良いことはありません。心の中にある小さな違和感を無視して、自分の価値を低く見積もってしまうことがあるからです。
これは素早い決断が悪いということではありません。「焦り」「寂しさ」「同調」「遠慮」「期待」まあざっくり言うと、こうしたキーワードを背景にした決断には気をつけた方が良いという所感があります。それは、本当にあなたの「ものさし」による決断なのか?ということを問う必要があります。
あなたは本当に結婚がしたいのか。どんな人生を歩みたいのか?どんな生活がしたいのか?優先順位は何か?など突っ込みどころが満載な訳です。何か不安を抱えているのなら、その不安がどんな価値観から引き起こされた幻想なのかを突き止め、その価値観や当たり前を一度ぶち壊して再構築することで、何にも代えがたい黄金の「ものさし」に変化していくことでしょう。不安のない人間はいません。
Ep3.君はちっぽけだ!謙虚になれ!
アルバイトや就活の採用面談などで不採用になることがありますよね。「不合格」は能力が足りなかったという意味合いですが、「不採用」は双方のミスマッチに過ぎないと受け入れることが大切です。学校教育が勉強という「ものさし」しか持てない学生を生み出しているのではないかと指摘できると思います。なぜなら、大学受験は数値化できる勉強の能力が評価対象の大きな割合を占めているからです。(推薦入試やAO入試などもありますが…)
だからこそ、就活で「学生時代に最も力を入れて頑張ったこと(通称:学チカ)」を語るときに何を評価されているのか分からなくなってしまうのかもしれません。では一体、この質問は何を聞きたいのでしょうか。
高校時代、バスケットボール部に所属していた私は、部員1人の状況から半年かけて7名まで部員を増やしました。入学前の春休みから部活の練習に参加していた私は、見学に来た同級生に対して、練習合間の休憩に勧誘をしました。なるべく先輩たちが創り上げている雰囲気を前面に押し出して。その結果、「この組織に属することで自分が成長できるのではないか」。そんな風に思ってくれたバスケットボール未経験者4名と私の合計5名で仮入部期間がスタートしました。
同級生が5名に増えたことは、とても喜ばしいことでした。しかし、この4名が成長する術を私は携えていませんでした。①この部活に入ってよかったと思えること、②バスケットボールの魅力に気付いたもらうこと。この2つを実現するためにはもう少し協力者が必要だと判断しました。そして、顧問の先生から17名のバスケットボール経験者リストをもらいました。
最初はバスケットボール経験年数が長い順に声を掛けました。上手な人を勧誘するということです。しかし、17名全員「もうバスケはやらない」の一点張りでした。ヒアリングの結果、経験者が他の部活に流れている大きな要因の1つが人間関係であると分かりました。私は、やみくもに声をかけるのを辞めました。また、経験者を集めた結果、試合での「勝利」は望めても、その後チームとして継続的に成長していけるかどうかは別の問題であることに気付いたのです。それは、経験者が語るトラウマを自分も肌感として理解できたからなのだと思います。そのくらい人と人との関係は大切です。
その人が過去に何を成し遂げたのかという能力至上主義で勧誘するのは辞めて、どのように部活を選んだのかという意思決定のプロセスを聞くようにしました。辛いことに打ち勝てる耐性も大切ですが、辛いことに耐えられなかった経験をどのように解釈しているのかという知性も同様に大切だと考えます。その結果、陸上部とボート部からユニークなバスケ経験者2名が入部してくれました。
Ep4.心から人生を楽しんで
学生時代はあまり話さなかったのに、卒業してから仲良くなることってありますよね。そうゆうことが起きるのは、人間的な魅力と何か関係しているのかもしれません。「魅力」というのは、これまた曖昧な言葉ですが、今回は「知性」という言葉に置き換えてみようと思います。
世の中には、評価されていない「知性」がたくさんあるという仮説が私は好きです。社会的に認められやすい「知性」は、いわゆる学力に代表されるような知性です。言語化する知性や論理的に考える知性などがそれに当たります。そのため、文字を書くことが苦痛な小さな魚博士Dの知性は評価されづらいです。学校教育というシステムの中では尚更。これは何とも言えないもどかしい。だからこそ、発達障害やギフテッドという定義が世の中に表出しているのだと思います。生きづらさを抱えている人がたくさんいることの裏返しでもあります。教育者の使命は、こうした生きづらさを抱えた人々を救うことなのかもしれません。世の中には埋もれた才能がたくさんあると私は確信しています。
だからこそ、何かあったらすぐに駆け付けられるようにしておく必要があります。自分を軽くしておくということです。とはいっても、教育者も人間です。1人で抱えきれる量は限られています。そのため、自分が抱えきれないことを請け負わないことも大切です。自分の容量を謙虚に見定めて、過信しないこと。大きな成果の背景には必ず、それに寄与した黒子の存在があるのではないかと言えるのではないでしょうか。科学的に証明するのは難しいので、これを「運」というスピリチュアルな言葉で表現するのかもしれません。本書に出会って、最後まで黒子として生きた主人公ビルに非常に深い尊敬の念を抱きました。
いかがだったでしょうか。この記事を通して、ビル・キャンベルの魅力が少しでも伝わったら嬉しいです🍵
最後までお読みいただきありがとうございました💛
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