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妻の不調と私の気遣い【日々のこと】

今日は朝から妻の体調が悪い。
覇気はないし、テンションも低い。
「しんどいの?」
「ちょっと頭が痛いの、肩も凝ってるし…」
眺めているだけのスマホを片手に、妻が弱々しく答える。

妻の体調はよく崩れる。
元々、肩凝りなうえに、その肩を怪我して長引いた。
偏頭痛持ちなこともあり、凝り以外でも、気候や緊張で調子を崩す。
朝元気なのに、昼崩れたり、
寝る前はテンション高くても、起きたらぐったりとか。
逆もあって、急に普通に戻ることもあるので、薬に託して休むしかない。

しばらくするとベットで横になりだした。
”今日はキツイ方かもしれないな…”
心配ではあるが、そっとしておく。
体調の悪い時は、話しかけられて応えるのすら、しんどい。
心配してくれる人に気を遣うのも、おっくう。
とにかく、妻の求めがあるまでは、そっとして静かにしておく。

静かな休日。でも、私の嫌いな静かな休日。

することもなく過ごし、昼も過ぎそうなので余りものを温め直す。
チンッと鳴って、調味料でちょい足しをと考えていたら、妻が起きてきた。
鎮痛テープを探り、それを手に持って力なくソファーに腰を落としている。
”これは、仕方がない”
冷めていく昼ご飯に後ろ髪を引かれるが、一目散に妻のもとへ。

「どこが痛いの?」
「今日は左の首のあたりが…右も痛いけど左が強すぎて…」
軽い肩揉みの要領で素人触診。
私が触れたコリと妻が痛いと言う箇所とは、5cmほど離れている。
たぶん、痛みが強くて原因箇所と痛みの感じ所がずれているのだと思う。
コリを中心に貼りたいけれど、説明しては頭痛に障るので黙って首に貼る。
妻の気持ちを優先して、あとは鎮痛の効き目が広範囲であれと願う。
右も同じように貼り終えたら、妻はベットへ戻って行った。

冷めた昼ご飯を食べながら、ポイントゲットを確信する。
体調の悪い妻には申し訳ないのだが、こういう時はポイントチャンスだと
思っている。良き夫をアピールする絶好のポイントチャンスだと。
私の妻は、普段マメに動く。
そして、それを苦としていない。
なので、普段は有効なアピールがなく、さほどポイントがたまらない。
ただ、不調の時は違う。なんせ、妻は動けない。
動かさないことが大事、そっとしておくだけで、まずポイントがたまる。
でも、ほっておいてはいけない。
小さな動きで駆けつけて、何よりも優先して動いて、またそっとする。
体調が戻った妻に、意外にポイントがたまっていたことは経験済み。
褒められる、感謝される、2,3日後の冷蔵庫にステーキ肉がある。

洗い物を終えて、水差しの量を確認。
”冷たい水は、ちゃんとある!”
隣のお茶が少ないので新たに沸かしておく、水出しですけど。
そして、それもちゃんと冷やす。

なんかノッてきたので、またちょっとお腹が空いた。
カップ麺を作って、ちょい足しでラードなんて入れたりして!

妻もまた起きてきた。
”ちょっと早すぎるけど、体調が戻ってたりして!”
ノリノリで期待するが、さすがにそれはなかった。
水を飲みに来たらしい、ちゃんとある冷たい水を!

「・・・・・・、ひょっとして、なんか食べてる?」
「ちょっとお腹空いたから、カップ麺を。」
「にしては、なんの臭い?なんか油臭い…」
「ごめん、ラードをちょい足ししちゃって…」
「・・・・・・、あぁ、そっかぁ、まぁ、いいんだけど…
でも今は、ちょっと臭いが、まぁでも、私が悪いんだけど…」
来た時より重い足取りで、妻はベットへ戻って行った。

音だけじゃなく臭いも気にしろ、私…
冷たい水じゃない、ぬるい油を気にしろ、私…

私の気遣いなんて、所詮、こんな程度だ…
鎮痛テープに全てを託して、換気扇を弱で回す。

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