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講義篇3:「まずは友達から」という発想に潜む罠

この記事は、2022/06/21にRadiotalkで収録したものを文字起こしして、さらに修正を加えた内容です。
元音声が聞きたい方は以下のリンクからどうぞ↓
#Radiotalk
#Non Shikaneの考え過ぎRadio

 《恋愛の話をしよう》ということでね、いろんな話をしてきてるんですけど。
 前回ですね、「恋愛」というのは特殊なゲームだっていうね、そういう話をしました。

また前々回くらいではね、「恋愛」っていうことを抜きにして人とつながるっていうことって、あるんだろうかないんだろうかどうなんだろうかっていうふうなね、そういうこともいろいろ考えてきたんですけれども、

もうちょっと具体的な事例とかを取り上げてね、いろいろ話をしていこうと思うんですけれども。

「まずは友達から」はなぜ失敗するのか?

 例えば「まずは友達から」っていうことでね、あるいは「親しくなってから」ということで、友達から始めて恋人になり、恋人になってから婚約者になる、結婚相手になる、結婚するとかね、そういうステップ、段階みたいなのをね、考えてらっしゃる方が世の中に大勢いらっしゃって。実際、「元々は友達だったんだけど、お互い好きな気持ちを確認したら恋人になりました」みたいなね、そういうケースもそれなりに聞くので。実際問題、「友達→恋人→結婚相手」みたいなね、そういうストーリーをそういうものだと信じ込んでですね、私なんかは、ひたすら女性だったり男性だったりとか色んな異性の友達は出来るんだけれども、結局恋愛には発展しないっていうね、そういうことも起きているわけですよね。
 私思うんですけど、「まずは友達から」って始めて恋人になるっていうふうなことはね、実はケースとしては非常に稀なんじゃないか、極めて稀な現象なんじゃないか、っていうのを思っていて。
 なんでかって言うと、先ほどまでからずっとお話ししてきた「恋愛」っていうことが実は特殊なゲームであって、参加資格もあれば、極めて特殊なルールに基づいて執り行われるゲームなんだよ、っていうふうなことから導かれる事実だと私は考えるようになりました。考えすぎるようになりました。
 「まずは友達から」っていう発想の中で……例えば好きな子、一目惚れした子がいて、「まずは友達から始めてみようか」って思って、声かけて、成功しました。で、なかなかいい感じに話が盛り上がって、すごくいい子だなっていうことも分かって、すごく仲良くはなれたんだけれども、なかなか告白とかね、そういうことは切り出せずにずっとずーっと来て、3年目にして告白してみて、「本当は出会った頃から好きだったんだよ」っていうふうな話をした時に
「いや、あなたとは友達でいたいので……」
っていうそういうふうなことをね、言われてフラれるっていうケースが実は大半なんではないかっていうことを私は思ったりとか、考えすぎたりとかするわけです。
 あるいは、付き合っていくうちにだんだん「アレ、この人とは『友達』としてはいいかもしれないけど、『恋人』としては脈ないな」みたいなね、そういうことで諦めがつく、みたいなパターンも結構あったりとかすると思うんですよね。
 なんでなんだろう、っていうふうなことを私は考えるんですけれども、そもそも「恋愛」っていうことで、やっぱり参加条件がある、ゲームに参加条件があるっていうことからすると、そのお相手さんにとっての「恋愛」というゲームのピッチに立つ条件にそもそも適ってなかったっていうふうなことでね、「いや、あなたとは友達でいたいので……」って断られるということであったりとか、非常に考えたくない辛いことではあるんですけど、自分自身が「恋愛」というピッチに立つための参加条件を結局満たしてなかったとかね、そういうことがあったりとかするわけですよね。それは例えば、今生活に困っててデートとかプレゼントとかに使えるお金がない、とかですね、大人になってくるとだんだんそういうことが起きてきますよね。あとは、すごく辛い話だし、ある種差別的なことでもあるんですけど、見た目ですとか。あとは同じ場を共有してないとかですね。そういうことでも参加条件アウト! ってなったりすることもあって。
 「この人と恋愛する関係になるためにはどういうふうな参加条件を満たしていることがいいんだろうか」っていうことを抜きにして、「まずは友達から」みたいな感じになると、なかなかそこから先発展しないということはあるかもしれないですね。

見落とされがちな「選抜条件」

 あとは「友達から」っていうふうに関係を始めてみて、参加条件はある程度満たしてみた、みたいなことはあるんだけれども、結局こちらにも選択肢があれば向こうにも選択肢があって、その時その時の場の中で「あなた(「恋愛」というゲームのピッチに立てる)選手ですよ」って選ばれるっていうふうなことは、なかなか大変な作業ですよね。選ばれるために、選手になるためにですね、いわゆる一般的な女性だったらメイクを頑張ってみたりとか、服(ファッション)に投資してみたりとかですね。あと、男性だったら身なりを小綺麗にするだとか、あとは何かしら面白い話が出来るためにネタのストックを沢山持っておくだとかね。一般的な男女はそういうことを頑張ってらっしゃるようなところはあるんですけれども。あの、非常に見落とされがちなのが、セクシュアリティっていう選抜条件・参加条件ですよね。例えば、よくよく話を聞いてみたら、実はお相手さん、素敵な女性だと思ってたら、レズビアンの方で、じゃあ男の私は恋愛対象にならないね、残念……みたいなね、そういうケースだってもちろんあるわけです。ゲイであったりトランスジェンダーであったりXジェンダー・ノンバイナリーだったりとかね、いろんな形でね食い違いがあったりするんですけれども。そういうことはなかなか見た目とかそういう直感的なところでは判断しづらいところがあって、だから聞いてみるしかないっていうふうなところになってしまうので。

恋愛に「ロマンチック」はいらない

 結局「まずは友達から」みたいな形でお近づきになることは、悪くないんですけれども、もし一目惚れして「この人と恋愛をしたい」みたいなことをビビッと思ったならですね、もうその人とやり取りをして聞いていく中で、お互いにとって恋愛というピッチに立てるかどうかの参加条件をまず直接的に確認するっていうことが一番手っ取り早いんですよね。あなたにとって恋愛対象に私は含まれるでしょうか、っていうことをまずは確認して、それから、あなたの恋愛対象の中にはいろんな選手がいますけれども、私は選ばれるでしょうか、っていうことをね、色々交渉してみる、みたいなね。そういうふうな交渉が必要になってきて、その後に「よし! お相手さんとある程度同意が見込めそうだぞ!」ってなった時にようやっと、脈あり、みたいなね。「この人、脈ありかもしれない」っていうふうに判断して、それから実際に告白するっていうふうなね。そういうことが段階としてあるんだろうと思うんですね。
 結局、そういう手続きみたいなところを無視してしまいがちになるんですよね。どうしても、恋愛というものをロマンチックに考えてらっしゃる人は特にそういう傾向があるのかな。「友達から発展する恋もあるよ」みたいな固定観念があって、現実問題としての参加条件ですとか、参加資格ですとか、選抜に生き残れるかどうかですとか、割と軽んじたりすっ飛ばしたりして都合よく考えてしまうっていうことが――こうして話をしている私自身もあるので、非常に自分で話していて自分の話に自分で耳が痛いっていう、こういうことが起こってるんですけど――実は、「恋愛という特殊なゲーム」っていうふうなことを考えると、そういう側面も見えてくるということをお話ししてみました。

 異論・反論待ってます。お便りください。もちろん、「賛同します」「それ分かる」みたいなお便りでも構いませんけれども。どしどしお寄せいただければと思います。ではでは。

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