夕暮れどき、りんごのケーキを焼いて。
全く予定していなかったりんごのケーキづくりは、ちょうど日が傾き始めた頃に始まった。
ホットケーキミックスが余っているなとか、この間たべた焼きりんごがおいしかったなとか。
おそらく、そんなとりとめのない考えがパズルみたいにつながった結果、急にりんごのケーキが焼きたくなったのだろう。
今日は予定していたことが急になくなってしまって、だからこそ時間はたっぷりあった。
材料も家にあるもので足りたので、さっそく取り掛かることにする。
まずはりんごをカットする。だいたい1cm角の大きさだけど、どうせケーキに入れてしまうから大体でよし。
カットしたりんごはバター、砂糖と一緒に鍋に入れて火にかける。焦がしたくないから一番弱火で。
とろとろ、飴色になるまで煮詰めるつもりだったけれど、思ったより時間がかかる。逆に焦げる心配がなくていいか。
ときどきぐるりとかき混ぜながら、のんびり煮詰めていく。
徐々に煮立ってきたら、オーブンに予熱を入れて、さらに卵を割って…。
つるんとした卵がかわいいなぁ、と呑気に眺めていたそのとき。
あれ?
気がつけば、窓の外は本格的に西陽だった。
何にがなくとも、夕陽はどこか急かされる気持ちにになる。
もうすぐ1日が終わる、寂しさに似た実感だ。
でも、りんごもようやくいい感じに煮えてきた。
とろりとりんごをボウルに移して、ホットケーキミックスと卵、そしてシナモンを一緒に混ぜ合わせればあっという間に生地の完成だ。
型に流し込めば、あとは30分程焼くだけ。
適当に過ごしていたら、いつのまにかタイマーが鳴っていたようだった。
さて、どうなったかな…。
よかった!
ちょっと膨らみすぎた気もするけど、中にもちゃんと火が通ってた。
こういうとき、焼き上がりすぐじゃなくて一日寝かせたりしたほうが美味しいって言うけど…。
絶対に我慢ならなくて食べちゃうタイプで、今日例に漏れず。
ちょっと水分が足りなかったのか、切り分けると端のほうがほろりと崩れてしまったけど、手作りだからこれはこれでよし。
ホットケーキミックスを使ったから外側がサクッとしていて、甘さの中にシナモンの香りがふわっと広がって。
うん、美味しくできた。
あっという間に食べ終わってしまって、もう一切れ、いや二切れ食べたかったけど、残りは明日の朝まで我慢。
我慢というと辛いから、明日の朝に楽しみができたということで…。
そろそろ晩御飯の準備をしなくちゃいけないから、その前に洗い物を済ませよう。
そう思って立ち上がった頃には、すっかり日も沈んで夜になっていた。
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